日産GT-Rが全面改良をまったく急がない理由 登場9年の大胆チェンジで何がどう変わったか
「2013年に現在の役職になってすぐにでも出したかったのですが、考えたこととできることのタイミングがうまく収まらなかったので、2014/2015モデルでは部分的にアップデートを行いました」
そんな2014/2015モデルは、GT-Rの世界感の中で「しなやかな足の動き」、「フラットライド」な乗り味を手に入れた。GT-Rの『GT(グランツーリスモとしての洗練された走り)』と『R(レーシングテクノロジーによる速さ』の両立。つまりMスペック構想だ。
その一方で「速さの頂点」はGT-R NISMOが追求。新車開発の聖地と呼ばれる「ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェ(北コース)」でNアタックパッケージ装着車が7分8秒679と量産市販車最速タイムを記録している。
見た目や型式を変えずに中身を進化させる方法もある
そんなGT-Rだが、登場から9年が経過しフルモデルチェンジの噂も流れたのも事実だ。いくら改良を重ねてきたといっても、最先端かつ最高水準の性能を持つスーパースポーツカーが通常、これだけ長い期間にわたって売られるのは異例でもある。その疑問に対して、田村氏はこう答える。
「皆さんはすぐに新型の話をしますが(笑)、R35でまだまだやりたいこと、やれることはたくさんありました。水野さんは凄いボディを作ってくれましたので…。R35の登場から9年経っていますが、見た目や型式を変えずに中身を進化させる方法もあるぞ、と。実はR32~34は約10年ですが、当時は見た目が変わってもエンジン出力は変更なしでしたから」。
田村氏の言う「R32~34」とは、「スカイラインGT-R」の名称で「BNR32」(1989年登場)「BCNR33」(1995年登場)「BNR34」(1999年登場)の3世代にわたって売られていたモデルのことだ。BNR32は当時の国産最強となる最大出力280馬力のエンジンを搭載して登場したが、その後、日本車メーカーの自主規制によって、スカイラインGT-Rは「R33」「R34」とフルモデルチェンジを2世代重ねても、エンジン出力をまったく上げられなかった経緯がある。
そんな2017モデルの変更項目はマイナーチェンジの域を超え、内外装やパワートレイン、車体、サスペンションなど多岐にわたるが、田村氏は「すべては“機能”のため」と語る。
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