“インドで年功序列”ほど、ナンセンスはない 「インド人の掟」がわからない、残念な日本人

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インドには「Jugaad (ジュガード)」という言葉もあります。

――限られたものの中で、効率的に改良を重ねることと伺っています。

ゴヤルさん:そうです。インドの人はなるべくローコストで開発をしようと改善を重ねます。インドにはとてもたくさんのエンジニアがいて、賢い人が多いにもかかわらず、人件費は安く済むのでさまざまな企業の研究機関がインドにあります。

勤続年数で給与が決まるなんてナンセンス

――日本企業がいい人材を確保するのは大変そうですね。

ゴヤルさん:そうですね。日本人の経営理念と、グローバル企業の経営理念の間に違いがあるのです。その違いが生まれる理由のひとつには、終身雇用制度があるのかもしれませんね。

日本では最初の給料は低くて、管理職になると上がります。それはグローバル企業の方法ではありません。インドではMBAを持っている人が多くいるので、そういう人の給料は最初から高い。

また、日本は会社への帰属意識を持って「会社のために」仕事をする人も多いですが、インドではあまり会社への忠誠心はありません。いい仕事があれば、転職をすることも当たり前です。日本も最近、雇用形態に変化が出てきているので、そろそろ新しいマネジメント方法を行うべきかもしれませんね。

インド人が日本の企業で働く意欲が低くなる理由のひとつは、日本企業にいても出世ができないことです。アメリカの企業などでは、インド人にマネジメントやCEOを任せています。しかし、日本の企業はインドに進出しても、マネジャーは日本人で、インド人がトップに立つことはあまりありません。

それではキャリアへのモチベーションが保てないので、優秀な人は去ってしまいます。グローバル企業になって、優秀な人に長く働いてほしいのであれば、ローカルスタッフにチャンスを与えるべきです。

――日本の経営方針を保ったままインドで事業を行いたいから、マネジャーは日本人のままなのでしょうか。

ゴヤルさん:年配の人が英語を話さないので、(現地法人のトップになる)部下も日本人にして、日本語でコミュニケーションをしたいのかもしれませんね。でもそれもこれから少しずつ変わってくると思います。今、日本企業は月に10社、年間100社ぐらいがインドに進出してきています。

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