――フィリピンはアジアの中でも、とてもユニークな国ですよね。国民の83%がキリスト教徒と、ASEANで唯一のキリスト教国。そして公用語は英語。アジアの中で、最も西欧に近い感覚を持っていると言えるでしょうか。
マサイさん:ええ、そこがフィリピンの強みのひとつです。私たちは非常にたくさんの国の影響を受けています。
音楽や歌が好きなことはラテンの影響を受けていますし、食事やライフスタイルの中にスペインの言葉や中国の言葉、そしてアメリカの習慣などが入っています。国民の多くがキリスト教徒のため、物事の考え方、価値観、ビジネスの仕方などの軸が、キリスト教から作られています。でも人を大切にし、大きな意味での「家族」を大切にするアジアの心も持っています。アジアと西欧をうまく融合させているのです。
国の中にはイスラム教の人もいますので、ほかの宗教の人も尊重しています。このことからフィリピンの人はさまざまな文化を理解し、適応する能力が高いのです。日本の企業には日本式に、韓国の企業であれば韓国式に合わせます。そして次の強みは英語を話すということです。英語はイギリス英語やアメリカ英語とは異なりますが、普通に話します。
イングリッシュでなく、タグリッシュ?
――契約書などもすべて英語ですか?
マサイさん:はい。契約書などはアメリカの方式に近いです。契約書を作成する場合は専門の会社を通して、弁護士をつけて英語で作成します。そこから必要であればそれぞれの地域の言葉に直します。
――地域の言葉は80ぐらいあるそうですね。
マサイさん:たとえばパミントアンさんは3つの地域の言葉を話しますよね?
パミントアンさん:はい、そうです。また、英語の中に地域の言葉が混ざることもありますね。
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