ダニエラ・カーロ27歳。南米ペルー出身のアニメーションチックな声で話すキュートで小柄な女性である。ペルーといえば人口3000万人で、金と銀とジャガイモとトウモロコシの産出で有名だ。えらく浅いお国紹介やな、というご批判が聞こえてきそうだが、これは先ほどダニエラから聞いたことの受け売りである。
祖父母はイタリアとドイツとスペインのミックスであり、自身もドイツ、エルサルバドル、アメリカで働いたのちに、現在、INSEADのフランスキャンパスで学んでいる。彼女を取り上げることにした理由は、異郷の地で外国人女性として男性社会の中で働くダニエラの生き様から、親愛なる東洋経済の読者の皆様にお伝えしたい教訓が多かったからである。
ダニエラは15歳まで故郷のペルーで育ち、高校は1年間ドイツの全寮制学校で過ごした。その後父の仕事の関係でエルサルバドルに移住。幼少期から国境どころか大陸を移動してきたことは、その後の人格形成に多大な影響を与えた。ペルーからエルサルバドルというと同じ中南米でそんなに違いがあるのか、という感じがするが、高校時代はえらく仲間外れにされたという。
南米はブラジル人のお祭り騒ぎのイメージが強いが、実は極めて宗教色が強い。エルサルバドルなどでは大半が敬虔なクリスチャンであり、週末は親戚を交えた大家族で集まるのが一般的な過ごし方だ。
高校時代は日本でもそうだが、どこの国でも“ほかと違う”子をいじめようとするものだ。彼女も“週末に大家族でご飯を食べてない(親戚はペルーにいるため)”、“普通の家族とは違う!”というだけでのけ者にされる原因になった(この話は私の幼少期を思い起こさせる。地元の小学校で鍵盤ハーモニカを生徒が皆買ったのだが、私のだけ色違いのやたらと立派な鍵盤ハーモニカだったため、“皆と違う”という理由で非常に悲しくなり、やっすいやすい、そっこらへんの鍵盤ハーモニカを泣いて両親にねだったものである)。
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