過度な育休や時短は、キャリアアップの妨げに ガラパゴス化している、日本の女性活用【第1回】

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女性活用がなかなか進まない日本。大手企業は女性活用を推進しようとさまざまな制度を導入しているが、女性管理職比率などは依然低いままだ。ダイバーシティやワークライフバランスに詳しいアパショナータ代表のパク・スックチャ氏は、優秀な女性社員が何年も育休・時短勤務などを続け、キャリアアップの妨げになっていることが、女性活用が進まない大きな原因と考える。今後、早急に検討しなければいけないのは女性の労働時間を減らす各種社内制度を充実させるのではなく、きちんと仕事ができる環境を整備することだという。問題の本質をとらえズバリと指摘するコンサルタントが「育休・時短勤務による課題」の原因と解決法を紹介する。

 

2005年の出生率が過去最低を記録した「1.26ショック」を機に、政府は少子化への危機感を高め、ワークライフバランス(主に仕事と家庭の両立支援)を強く推進し始めた。そして、従業員の子育て支援行動計画が企業に義務づけられて以来、企業での両立支援への取り組みは急速に進んだ。

特に大手企業では、法定以上の育児休業や短時間勤務を導入する企業が大幅に増え、現在では2、3年間の育児休業や、子が小学3年まで利用できる時短勤務制度を提供する企業も珍しくない。

出産で離職する女性は減ったが…

企業が両立支援を充実させる大きな理由は「女性従業員の出産に伴う離職率を低下させること」、そして「女性活用を推進させること」にある。企業努力の結果、05年に72.3%だった女性の育児休業取得率(厚生労働省調査)は、2011年には87.8%まで高まり、従業員数500人以上の企業では91.4%。100%に近い大手企業も多くなるなど、出産で離職する女性はぐっと減った。

さて、両立支援には、さまざまなコストがかかる。08年のリーマンショックおよび11年の東日本大震災以降、景気低迷が長引き、大手企業でさえも経済的体力が低下している。企業は女性を定着させて活用し、貢献してもらうことを期待して両立支援を進めてきたのだ。

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