過度な育休や時短は、キャリアアップの妨げに ガラパゴス化している、日本の女性活用【第1回】
しかし、多くの企業にとって想定外のことが起き始めた。特定部署で子育て社員集中による周囲の負担増や、制度をフル利用することで、仕事に対するモチベーションを低下させる女性社員の増加など、育児休業と時短勤務に関係する問題が出始めるようになったのだ。
日本の両立支援は、戦力化につながっていない
大和総研の主席研究員、河口真理子氏は、現在のワークライフバランス政策は「家庭責任が主で、会社では、補助的な仕事を行う女性社員を大量に作り出した」と指摘する。
大半の企業は、女性の活躍を期待して両立支援を充実させたにもかかわらず、女性が単に辞めなくなっただけという「定着」にとどまり、戦力化にはつながっていないのが現状だ。女性が出産後も仕事を続けることが当たり前になりつつある過程で、育児休業者や時短勤務者が増加しており、この問題は今後より大きくなっていくだろう。
興味深いことに、海外では日本のような育休・時短にかかわる問題は見られない。なぜだろう。グローバル化が進む中、両立支援も女性活躍推進もグローバルな視点抜きでは語れない。ここで海外事情を見ていこう。
米国では、女性が企業の両立支援を勝ち取った
日本はしばしば欧州の両立支援の例を取り上げるが、欧州では高い国民負担率(税金)により政府が両立支援を行っているので、企業はあまり取り組んでいない。
一方、国民負担率の低い米国は政府の支援が手薄な分、企業が両立支援を担わなくてはならない。そのため、従業員に高い生産性などの見返りを求めるのだ。終身雇用がなく、低パフォーマンスを理由とした解雇もありえるので、従業員は制度に甘えられない。そのような状況下、女性たちは期待された成果を出し、両立支援を勝ち取っていったのだった。
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