女性が”海外男性社会”でサバイブする方法

世界最大級のビール会社で働いてみた

男性社会・世界最大級のビール会社での奮闘

ダニエラの入社当初、アメリカのビール業界は様々な難しい挑戦を受けていた。以前はアメリカでアルコールと言えばビールだったが、ほかの国と同様、ワインやリキュールなどに市場を侵食されている。かつ消費者の好みも多様化し、従来のようにビッグプレーヤーが市場を独占できた時代は終わり、マイクロブルワリーと呼ばれる地元の小規模醸造所との激しい戦いが始まっていた。

加えてアメリカのビール業界には多くの規制があり、メーカーは卸にしか売れず、直接小売りができない。そんな中、卸業者の水平統合が進み、バリューチェーンの下流の交渉力が高まりマージンが圧迫された。また卸業者が小売りに売るため値付けが複雑で、かつ州によって法律も異なる。ビールをすべて同じ値段で売らなければならない州もあれば、フレキシブルな州もあり、プライシング戦略は困難を極めた。

またダニエラの責任は重大で、季節ごとのビールの需要予測を基に生産サイドにオーダーを出すので、予測の精度次第で在庫や仕入れが大きく変動し、会社の利益に大きな影響が出る業務であった。

20歳年上の男性社員から尊敬を勝ち取るために

さて、20代前半の小柄な外国人女性が、ぽーんと男性カルチャーが支配するビール会社に放り込まれたのだから、苦労は並大抵ではない。32歳から45歳にまたがる屈強なおじさん軍団の中、アメリカだけに社員のバックグラウンドも多様で、仕事のやり方も学習の仕方も大きく異なる。

マイケルはのみ込みが早く紙を渡せば自主的にどんどん吸収するが、スコットは手取り足取りやってみせて、何度も繰り返さなければ理解しなかった。ジョンは常にノートをとって覚えるタイプだった。何かを伝えるときには、相手によって教え方を変える工夫が必要だった。

また人間は皆自分がいちばん大切だと思っているため、つねに最優先視されていないとへそを曲げる。そして何よりも大きな挑戦は、20代前半の、30人の男性ばかりの部署で、唯一の20代前半の女性であったダニエラの意見に耳を貸そうという社員などいなかったということだ。

人と働くことには衝突は付きものだが、様々な国から来ている文化的背景の多様な二回り年上の男性30人を束ねるのは、並大抵のことではなかった。

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