女性が”海外男性社会”でサバイブする方法 世界最大級のビール会社で働いてみた

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上司としてではなく、友人・コーチとして振る舞う

ダニエラは国籍や文化背景や年齢層の違うチームから認められるために、ボスとして振る舞うのではなく友達になろうとした。いつも、正式な会議の場で全然耳を貸してくれなかったいちばん手ごわいマイケルにインフォーマルな場で近づき、相談してアドバイスを請うようにした。そして相手に自分はあなたを信じている、というメッセージを伝え、徐々に人間関係を構築していった。

1人、2人と同じように非公式な場所で人間関係をつくり、自分の“信用のサークル”を広げていった。また年上の従業員の中は、年下女性にマイクロマネジメントされていると感じればやる気を失い、士気が下がってしまいがちなので、最大限裁量を与えるようにした。ダニエラはボスではなく友人、上司ではなくコーチとして振る舞うように心掛けた。

20代前半の小柄な外国人女性が上司に気に入られて抜擢されたのは、ダニエラがつねにもっと仕事をやりたい、責任の範囲を増やしたいと、強い情熱で積極的に仕事を増やしていったからだという。

人はなぜビールを買うのか、ある消費者はなぜ他社のビールを買うのかを考えるのが楽しく、消費者の視点で店に頻繁に足を運んでは、ほかのビールとの比較に打ち込んだ。充実したビール漬けの毎日を送ったダニエラだったが、収入マネジメントやマーケティングに限定されず、自分の可能性を一段と広げるためにINSEADでのMBAコース進学を決意した。

INSEADへの留学

こちらINSEADでの生活をダニエラは「人生で最も心地がよい」と話す。外国人として各国を転々としてきた自分は、いつも“アウトライヤー”だと感じていた。しかしINSEADでは出身は80ヵ国にわたり、またそれぞれの学生が3ヵ国、4ヵ国で生活し、複数の言語を操る。文化的な多様さが尊敬され、寛容に受け入れられ、お互いがお互いにとって“変”ではない。むしろ“変”であることは相対的な観念であり、誰を基準にするか、そこに普遍的な物差しなどないことを学んだ。

「ここは誰しもがマジョリティでもなく、マイノリティもいない。どんなユニークなバックグラウンドの人でも、それが当たり前で、“普通“なんて押し付けられた思い込みにすぎないことがわかった」とダニエラはほほ笑む。

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