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守護神・牧田は、球速130kmでなぜ勝てる 強靱なメンタルと巧妙なテクニック

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しかし、牧田の思考は逆だった。

「相手が自分を潰しにきてくれたと感じました」

左打者を並べてきたのは、相手がアンダースローの自分に苦手意識を示している証拠ととらえたのだ。結局、8回2失点で負け投手になったものの、先発としては十分な出来だった。牧田は「自分の仕事はできたと思いますけど、ゼロに抑えれば負けることはない」と口を真一文字に結んでいたが。

相手より優位に立つために、牧田は絶妙なテクニックを使うこともある。入団1年目の11年5月6日に行われた楽天戦。2対0で迎えた7回無死の場面で大ベテランの山﨑武司に対し、クイックモーションで投げて空振り三振を奪った。通常、クイックはランナーがいる場合に、盗塁を防ぐために使う投法だ。走者のいない場面で山﨑はクイックを想定しておらず、牧田は完全にタイミングを外してバットの空を切らせた。山﨑は「1年目で何をやっているんだ? 100年早い!」と激怒したが、ルールの範疇にあるテクニックを駆使したまでの新人右腕投手はどこ吹く風だった。 

WBCで使いたい技

このケース以外でも、牧田は相手打者のタイミングを外すためにさまざま々な工夫を凝らしている。たとえば、左足を上げるタイミングを微妙に変える。投手が球を離してからキャッチャーミットに吸い込まれるまでは1秒未満の出来事で、打者は投手の投げる動作に合わせて打つタイミングを計っている。しかるに、投手が足を上げるタイミングを微妙に変えると、打者のバットを振る動作にズレが生じやすいのだ。

現在開催中のWBCで、牧田はこの技をうまく使いたいと話している。国際大会は相手のデータが少なく、ましてや牧田は世界でも類の少ない下手投げだ。和ガラスを作る職人のように精巧なテクニックは、外国の選手たちに大きな戸惑いを起こしうる。

「ワインドアップからのクイックとか、フォームに強弱をつけてやっていきたい。バッターはタイミングで振ってきます。短期決戦だし、意表を突いてやっていければ、慌てて振ってくるかもしれません。いろいろ、投げていく中で探っていきたい」

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【社会人時代は、インコースばかり】

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