サッカー欧州選手権、「乱闘続出」の異常事態 ロシアのサポーターが暴徒化している

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リポートには、ポーランドとウクライナで共催されたユーロ2012における違反について3件がリストアップされている。もっとも多額の罰金を科せられたケースはロシアのサポーターによる違反行為だった。データによると同国のファンがチェコとの対戦中、ロシア帝国の旗を掲示した上、信号用の花火をピッチに投げ込んだなどの理由で12万ユーロの罰金を受けている。

UEFAはちなみに、4年に一度の欧州選手権だけでなく、各国リーグの強豪クラブ同士の対抗戦であるチャンピオンリーグやヨーロッパリーグを主催している。最近の例では、今年5月のチャンピオンリーグの試合中、イングランド・リバプールのサポーターがスタンドで花火を焚いたとして罰金1万1000ユーロが科せられたほか、法律で禁止された用語を使った応援に対しては4万ユーロを科した例が複数見られる。

しかしこれらの罰則はスタジアム内での出来事に対してのみ運用され、例えば今回のような「場外乱闘」については未だ対応が決まっていない。マルセイユの市民は今回のトラブルで商店やバー、車のガラスが叩き割られる被害を受けており、「それぞれ数千ユーロ(数十万円)に及ぶ負担が強いられることになる(現地紙)」とされるが、これらの補償についても気になるところだ。

「前科」があるロシアへの観戦旅行は不安?

ロシアは前回大会でも高額の罰金を受けたにもかかわらず、それに懲りないどころか、今回は試合前に連日のようにスタジアム外でも大暴れと凶暴化が進んだ格好となっている。このような「前科」がある国へ安心して観戦旅行ができるのだろうか。

W杯では毎大会、大挙して日本人サポーターが観戦旅行に出掛け、現地で大きな声援を送っている。日本代表が順調に本大会に駒を進めたら、ロシアに観に行こうというサポーターも大勢いるだろう。しかし、「あの国は危なそうだから、行くのを止めよう」「留守宅に心労をかけるのは良くないので、渡航は避けよう」というような論議が出てきたらサッカー界にとってマイナスだ。

まずはユーロ2016がさらなるトラブルなく順調に進むことを期待したい。

さかい もとみ 在英ジャーナリスト

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Motomi Sakai

旅行会社勤務ののち、15年間にわたる香港在住中にライター兼編集者に転向。2008年から経済・企業情報の配信サービスを行うNNAロンドンを拠点に勤務。2014年秋にフリージャーナリストに。旅に欠かせない公共交通に関するテーマや、訪日外国人観光に関するトピックに注目する一方、英国で開催された五輪やラグビーW杯での経験を生かし、日本に向けた提言等を発信している。著書に『中国人観光客 おもてなしの鉄則』(アスク出版)など。問い合わせ先は、jiujing@nifty.com

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