内向きの時代は終わり、留学人気が再燃する 「東大よりもハーバード」の時代がくる

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法学部もその先のロースクールが不安定な状況だ。法学部を出た後の進路が昔ほどは明るくない。

それなら経済学部はどうか?

経済学部もリーマンショック以降、金融資本主義的な価値観そのものが揺らいでいる。金融機関がすべてなくなるようなことはないだろうが、やはり昔と比べて、保護者や先生も積極的には勧めにくい学部になってきている。

文学部、法学部、経済学部と、文系の生徒にとってメインの学部が今、その先の就職やキャリアを描きにくくなっているのだ。そこでにわかに脚光を浴びているのが、国際系の大学・学部というわけである。ここに進学しておけば、何となく潰しが利くのではないか、と思うらしい。

その延長上に海外大への留学がある。日本の大学に進学して生きていくよりも、いったん海外に足場をもって、将来、活躍できるという展望をもちたい。そういう生徒が増えているという背景がある。

バブル世代の親は、子どもの留学に前向き

決して明るくはない未来が待ち受けている日本。企業のグローバル競争が激しくなり、再び浮上する気配も見えない。少子高齢化は急速に進み、50年には日本人の平均年齢が52歳になる、との予測もある。社会保障も含めた日本の財政状況はどうなっていくのか?

最近の親は子供が「海外の大学に行きたい」と相談してきたら、いったん聞く耳をもっている。少し前までの親は、「海外の大学に行ってもリスクが高いだけだから、日本の大学に行っておきなさい」と答えていたが、最近の親は「確かに海外の大学のほうがいいかもなあ」と考える。実際に子供の要望を認めるかどうかはともかく、話を聞く状況になってきているのだ。

親自身が留学経験のあるケースも増えている。今の中高生の親は40代のバブル世代が中心だ。生徒の父親がバブル期に企業派遣で留学し、MBA(経営学修士)を取得している。海外赴任の経験もある。そのため、子供にも早い段階で海外に行かせたいと思っている。加えて、円高も追い風となり、留学しやすい状況だ。

生徒と保護者と先生の関心が日本から海外に大きくシフトする中、今年10月、早稲田大学は「平成34年度までに1学年8000人の全学生を海外大へ留学させる」という大胆な目標を打ち出した。10年後である。日本の大学も、グローバル化へ大きく舵を切らなければ生き残れなくなるだろう。

(構成:上田真緒、撮影:今井康一)

藤井 雅徳 ベネッセ・高校事業部グローバル事業推進ユニット長

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ふじい まさのり / Masanori Fujii

1975年大分県生まれ。99年、ベネッセコーポレーションに入社。入社から8年間、年間200本を超える高校生への進路講演、教員向けの研修会、大学受験情報の分析などを行いながら、学校改革支援に従事する。2008年5月、米国のトップ大学を目指す少数精鋭の進学塾「ルートH」開校。3期生までで10名の卒業生を輩出し、米ハーバード大に5名、米イェール大に3名等、高い合格実績を残す。ソーシャルイントラプレナー(社内起業家)として、現在7つの新規事業プロジェクトを担当。

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