歴史は時代に合わせて書き換えられる 『ハーバード白熱日本史教室』を書いた北川智子氏に聞く

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歴史は時代に合わせて書き換えられる--『ハーバード白熱日本史教室』を書いた北川智子氏(英ニーダム研究所客員研究員、前ハーバード大学レクチャラー)に聞く

若き日本人研究者が、米ハーバード大学で中世日本史を斬新な発想と手法によって人気講座に変貌させた。アイデアと情熱あふれる少壮歴史学者の考える「21世紀感覚」の歴史とは。

──7月から英国ケンブリッジにあるニーダム研究所に移られました。

1年間研究者としているつもり。独立機関といってもケンブリッジ大学の構内にあり、図書館など施設を使える。科学史の研究所なので、その保存史料を使いながら、日本とアジアの中世数学史を研究することにしている。16世紀に特化したものは世界的にも知られていない。珍しいタイプのものになる。

大学では何年間か教育に携わった後、サバティカル(充電休暇)を取る先生が多い。私もラッキーなことに研究所からお招きいただいたのでハーバードを離れた。日本史の授業で得たこと、またそれ以前に数学史でしてきたことに区切りをつけ、成果を形にしようと思っている。授業だけでは研究者と見なされない。特質のある研究を若いうちにしておかなければ、学者としての基盤が弱まってしまう。

──ハーバード大学では、学校公認の通知表で学生から抜群の好成績をもらい、2011年には4年生によって「思い出に残る教授」賞にも選ばれています。

「Lady Samurai」や「KYOTO」のタイトルでの中世日本史の講義が評価された。

──映画作りや「タイムトラベル」などの斬新な手法を導入し、過酷な宿題も課したようですね。

アクティブラーニングが基本にある。宿題ともなる課題は6段階あって全体で100%。最初は易しく、ペーパーを提出したら誰でも5%の満点を与える。でも、そこにトリックがあって、その内容は学内のWebで公開する。いいかげんなことは書けないし、それに第2の課題にも大いに関係してくる。第2の課題はグループプレゼンテーション。4人一組で、自由に人選し合う。最初のペーパーで人気者になれば引っ張りだこになる。いろいろなコミュニティができ上がりクラス全体が白熱してくる。

 

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