格安フィリピン留学、3つの「不都合な真実」 安いのにはそれなりの理由がある

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1.英語のネイティブではない→初心者に英語を教えるのがうまい

ネイティブ言語が英語ではないフィリピン人は、英語を学習して話せるようになった国民。ビジネス英語能力の国別ランキングを示す「ビジネス英語指数BEI」では断トツで世界一位です(ちなみに日本はアジア最下位)。

ネイティブではないフィリピン人は言い換えてみれば、世界で一番成功した英語の学習者。英語を学習して話せるようになったフィリピン人は「正しい」英語の学習法を知っているわけです。そして何より、英語学習は大変だということを身をもって経験し、知っているというのは、ネイティブにはない強みです。

日本の中学生がみたフィリピン講師の強み

今年2月、立命館宇治中学校の生徒たちがフィリピン留学に訪れていました。「日本で英語を習うのと何か違いがあるのか」と尋ねると、こんな答えが返ってきました。「学校にはネイティブの先生がたくさんいるけど、フィリピンの先生の方が英語を間違えてもすぐに言いたいことを理解してくれる」「簡単な単語や文法を間違えても一生懸命教えてくれる」――。

彼らの先生であるフィリピン人も学生時代、英語を外国語として習っていたので、中学生の間違え方や「英語がわからない」という気持ちがわかるのでしょう。ある程度英語を話せる人には物足りないかも知れませんが、初心者や英語から遠ざかっている人たちにはフィリピン人はうってつけの先生なわけです。

2.外国人に英語を教えた経験がない→正社員で雇って外国人向けの講師を育てる

講師と教師の違いをご存知でしょうか? 講師は大学生でもパートでも英語が話せればなれます。しかし教師は、ライセンスを持ち正規採用されたプロを指します。かつてフィリピンでは英語が上手に話せる大学生やパート講師がほとんどでした。私がいた韓国系の学校は、マニュアルを作ってバイトの講師を大量採用してどんどん入れ替えていました。

フィリピン人講師の最大の弱点は、外国人に教えた経験がないことです。そこで私は、腰を据えて講師の質の向上に力を入れようと考えました。

具体的には、QQEnglishで働くフィリピン人をすべて正社員で雇い、全員に「Teaching English to Speakers of Other Languages (TESOL=英語が母国語ではない人々向けの英語教授法) 」を取らせることにしたのです。TEOSLは世界さまざまな認定機関に学習コースがあるため認知度も高く、外国人に英語を教えるのにもっとも有効な国際資格の一つです。取得に150時間を要しますが、弱点を克服するにはこの資格を取ってもらうしかないと考えました。

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