格安フィリピン留学、3つの「不都合な真実」 安いのにはそれなりの理由がある
マンツーマンの教科書では、一人称、二人称は出てきますが、三人称や複数形は使いません。こうした細かいところから、数々のアイデアを盛り込んだ、マンツーマン専用の教科書を作っていきました。新しい教科書で目指したのは、英会話が上達するだけでなく、それと同時に文法や構文も自動的に身につくことです。私のすべての欲求を満たす教科書を作るのに結局、6年の歳月を要しました。
さて、こうして徐々に弱点が克服されていくと、今度はフィリピン留学の利点がハッキリと見えてきました。同国の魅力は人件費が安いことだけではなかったのです。世界には看護師や家政婦として働くフィリピン人が多くいますが、その背景にあるのは同国人のホスピタリティの高さ。彼らは他人を思いやる気持ちがとても強いのです。こうした資質は英語教師としても存分に発揮されます。
日本から一番近い英語圏
また、フィリピンは日本から一番近い英語圏でもあります。欧米留学だと行くだけで12時間以上かかってしまいますが、フィリピンなら4~5時間で行けてしまう。今まで留学というと、会社を休んだり、あるいは辞めたり一大奮起する必要がありましたが、同国であれば海外旅行感覚で行けてしまうのです。近年は連休などを利用して2、3日の超短期で留学に訪れるビジネスマンもいます。
格安航空会社(LCC)の普及もあって、留学費用も安くなりつつあります。たとえば1日8時間英語の特訓をする場合、1カ月いても宿泊、食事、航空券代込みで25万円程度、1週間なら同じ条件で10万円程度です。
学習を続けるのにも、フィリピンを訪れる必要はありません。スマホやタブレットを利用して、自宅や会社の空き時間にオンラインで英語を学べるからです。オンラインの英会話なら毎日学習しても月額6000円程度です。それでも、物足りないなら飛行機に乗って、フィリピンに「特訓」へ向かえばいいのです。ネットやLCCのおかげで、質の高いフィリピン英語を、かつてよりも気軽に学べる時代になったのです。
昨年、フィリピンで行われたアジア太平洋経済協力(APEC)の構造改革担当大臣会合の合間に、小泉進次郎元政務官がオンライン英会話とフィリピン留学の視察に訪れました。グローバル人材育成を掲げる安倍内閣もフィリピンの英語力を期待しているのかもしれません。
11年前には、日本人に見向きもされなかったフィリピン留学がここまで根付いてきた背景には、地道な教科書開発や教師の指導がありますが、それ以上にフィリピン人がもともと持ち合わせていた英語の学習能力の高さや勤勉さがあったことは間違いありません。
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