スタインウェイピアノが投資対象になるワケ

輸入高級車と重なる「絶妙な」ブランド戦略

クラシック、ジャズ、ポップスと数多くのアーティストが使用しているスタインウェイのピアノ。ブランド価値を高める施策は、ほかの業界にとっても参考になる(写真提供:スタインウェイ・ジャパン)
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皆さんは普段どのような手帳をお使いだろう。僕がこの数年愛用しているのはピアノのトップブランド、スタインウェイのオリジナル手帳だ。漆黒のカバーにスタインウェイの金のロゴが印刷されたお洒落な手帳の中身はいたって普通なのだが、ひとつだけ素敵な情報が付加されている。それは「スタインウェイピアノ製造番号表」だ。

1853年のスタインウェイ社創業年に製造された台数である483の数字を皮切りに、2015年の602,800番までの累計製造番号が記されたこの表は、すべてのスタインウェイピアノの製造年が製造番号からチェックできるという、ピアノ好きの心をくすぐる実に素敵なシロモノだ。

この手帳を使うようになって以来、ホテルのロビーなどに置かれた古いスタインウェイを見つけると、製造番号をチェックして製造年を確認するという妙な癖がついてしまったのはご愛嬌。ところで60万台を超えるスタインウェイピアノの中で、現存している数はいったいどれほどあるのだろう。その正確な数字は、本国のスタインウェイ&サンズ社でも残念ながら把握できていないようだが、ピアノの寿命とブランド価値を考えれば、おそらく相当高い割合で現存していることが推察できる。

富裕層は投資のためにピアノを購入!?

ちなみに車の世界においては、ドイツの名門ポルシェの場合、製造された車の約3分の1が現存しているという話を聞いたことがある。車と違ってピアノは耐久年数が長く交通事故で壊れることもないだけに、さらに高い残存率が期待できそうだ。スタインウェイとポルシェに共通するのは、高いブランド性とそれに伴う中古価格の高値安定、それが高い残存率につながっていると考えられよう。

スタインウェイ・ジャパンによれば、自分ではピアノを弾かない富裕層が、サロン運営のためにピアノを購入するようなケースが最近増えてきているのだとか。これが何を意味するのかといえば、音楽を愛好する気持ちと同時に、価値の下がらないものへ投資したいという冷静な判断があるからだろう。

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