昨秋オープンした新ホール「豊洲シビックセンターホール」でのコンサートを先日初めて体験した。豊洲駅前のビル上層部に作られたこのホールの特徴は、ステージの背後と、ステージに向かって右側の壁面がすべてガラス張りであること。この日のコンサートでは、ステージ背後のブラインドが開けられていたため、豊洲の夜景を観ながら演奏を聴くという、非日常的な空間が演出されている。しかもピアノは噂の名器ファツィオリが用意され、300席の親密な空間がとてもゴージャスに感じられたことが印象に残る。
趣向を凝らしたホールが多い東京でも、際立った個性を持つのがリクライニングシートを備えたHakuju Hall(ハクジュホール)だろう。45度の角度でリクライニングするシートは、「パリ・オペラ座バスティーユ」のシートと同じものを採用。つまり長時間のオペラを観てもお尻が痛くならない優れモノだ。「どうぞ寝てください」というキャッチコピーに誘われてリラックスした気分でコンサートを楽しむのも悪くない。コンサートは、ホール次第でこんなにイメージが変わるのだ。
より取り見取りのホール事情
さて、今から30年前の1986年に、首都圏初の“コンサート専用ホール”サントリーホールが誕生して以来、東京にはいったいいくつのホールや劇場が新設されたことだろう。代表的な大型ホールとしては、前述のサントリーホール(1986年/2006席)を始めとして、オーチャードホール(1989年/2150席)、東京オペラシティ・コンサートホール(1997年/1632席)、東京芸術劇場(1990年/1999席)、すみだトリフォニーホール(1997年/1801席)。
1000席前後の中型ホールでは、紀尾井ホール(1995年/800席)、第一生命ホール(2001年/701席)。そして500席以下の小ホールには、サントリーホール・ブルーローズ(1986年/432席)浜離宮朝日ホール(1992年/398席)、トッパンホール(2000年/408席)、王子ホール(1992年/315席)、ハクジュホール(2003年/300席)、ヤマハホール(2010年/333席)あたりが代表的。
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