2016年、ライブ会場は本当に不足するのか 劇場・ホールの閉館ラッシュに現場は悲鳴

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クラシック音楽の殿堂、日比谷公会堂は2016年から足かけ4年の建て替え工事に入る

「このままの状況が続けば、自分たちの公演ができなくなってしまう」。東京都内を中心に活動する音楽や演劇の関係者が、そんな不安にさいなまれている。

年明け以降、首都圏で演劇やコンサートを開催できる劇場・ホールが不足するといわれる「2016年問題」。11月5日には、能楽師で人間国宝の野村萬氏、ロックバンド「サカナクション」の山口一郎氏らが記者会見を開き、問題の深刻さを訴えた。

2000年代以降、朝日生命ホールや新宿コマ劇場、厚生年金会館をはじめとして、日本の芸能史に名を刻んできた有名な劇場・ホールがいくつも閉鎖されてきた。今年に入ってからも、青山劇場や五反田ゆうぽうと、日本青年館などが歴史に幕を下ろしている。

こうした状況の中、2016年にはさいたまスーパーアリーナや横浜アリーナ、東京国際フォーラムといった大規模会場が同時期に改修工事に入る。その結果、首都圏で一時的に計6万席余りの会場が消えてしまうという。

小規模の興行にシワ寄せも

11月5日、各種芸能団体が共同で会見を開いた

大手の芸能プロダクションやレコード会社は、2年以上前からこの問題を認識し、対策を取ってきた。「これまでより小さい数千人規模のホールで公演数を増やして対応する」「週末だけでなく、平日公演を増やす」といった具合である。彼らにとって2016年問題はすでに想定内のようだ。

むしろ、今後シワ寄せが懸念されるのは「千人、数百人規模のコンサートやバレエ、演劇だ」と、日本芸能実演家団体協議会(芸団協)の福島明夫・常務理事は指摘する。

これまで数万人規模の会場を使っていた興行主が、数千人規模の会場を長期間使うようになれば、その会場を使用していた興行が数百人規模の会場に移る。こうした玉突き現象の帰結として、個人レベルの公演や認知度の低い芸能など、集客力の劣る興行は行き場を失いかねない。

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