時代は「サロン」コンサートを必要としている

親密な空間で聴く音楽に魅力を感じる現代人

東急プラザ銀座にある「KIRIKO LOUNGE(キリコラウンジ)」は、天井高約27メートルのオープンスペース。銀座を一望できる眺めが自慢だ(写真:大久保惠造)

さる5月23日(月)、銀座数寄屋橋交差点に面した話題のスポット「東急プラザ銀座」6階の「KIRIKO LOUNGE」にスタインウェイのグランドピアノが導入され、選定を行ったピアニスト小山実稚恵によるお披露目コンサートが開催された。

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高さ約27mの吹き抜けを持つガラス張りの会場には、取材に集まったマスコミのほか、抽選によって招待された一般の方々50組100名が出席して華やかな時間を共有。銀座の夜景に包まれたゴージャスな空間の中、コンサートホールとはひと味違うサロン的な雰囲気の中で楽しむコンサートの魅力に酔いしれた。この「KIRIKO LOUNGE」では、東急プラザ銀座とBunkamuraの共同企画によって、定期的に文化イベントが開催される予定。サロン文化を継承する存在としてこれは大いに期待したい。

サロンの魅力とは、いったいなんだ?

さて、サロンの魅力とはいったいなんだろう。普通に考えればコンサート専用に設計されたコンサートホールの方が断然音が良いわけで、周囲の喧騒から遮断された空間の中で音楽に浸る時間は何物にも代えがたい。にもかかわらず、今回のような環境で楽しむコンサートになぜ魅力を感じるのだろう? その答えは、非日常を目指したコンサートホールの思想とは逆に、日常の延長線上にあるコンサートの持つ魅力にあるのではないだろうか。言い方を変えれば、神経を研ぎ澄ませて集中しながら聴くコンサートと、リラックスして楽しむコンサートの違いとでも言えそうだ。

今年生誕150周年を迎えたフランスの作曲家エリック・サティが生み出した「家具の音楽」の中にもそのヒントが垣間見える。晩年のサティが理想とした“家具のように生活の中に溶け込んで邪魔にならない音楽”や、そのような環境の中で気楽に楽しむ音楽が、現代人の心にも響くように思える。だからといって先日の「KIRIKO LOUNGE」でのコンサートが、弛緩した雰囲気の中で行われたのかといえば、そんなことはまったくない。聞こえてくる音楽は、その親密な空間ならではの臨場感に満ちたもの。演奏者との距離が近い分、細かなニュアンスまでが聴きとりやすいのだから素敵だ。まさにサロンの魅力再発見の瞬間ではないだろうか。

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