よく「いつまでもお客様気分でいるな」と言ったりしますが、「お客様体質」とは、仕事においても「教えてもらえる」「指示してもらえる」と、何かしてもらうのが基本になっている体質です。文字どおり「お客様」なので、自分から何かをしようと姿勢が薄いのです。
とはいえ、テイカーと言えども自分の家ではオーナーシップを自然と発揮し、家族のためにギバー資質が多く出てきます。「会社が」、「組織が」、「上司が」という主語ではなく、「私たち」という主語を用いることで、自分とチームを近づけ、オーナーシップを徐々に植え付けていくとよいでしょう。
「優等生体質」は、勉強に正解があったように仕事にも必ず正解があると思い、正解に向けて失敗しないように仕事をします。試行錯誤してみるよりも、早く正解を出すことに関心があり、他者評価によって行動を決めます。研修でお客様とのロールプレイの中で提案をしてもらうことがあるのですが、「この提案では受け入れらない」と指摘すると、「じゃあ正解を教えてください」と言われてしまったことがありました。
とはいえ、優等生体質が強い人は、文字通り優秀であることが多いので、この場ではどんな行動が評価されているのかを理解すれば動ける人が多いと言えます。アウトプットにいたるまでにどんな考え方で何をしたのかを説明してもらったり、アウトプットのバリエーションをたくさん見せることで、一つの正解を追い求めるのではなく、相手によって考え方を変える他者志向の行動パターンを身につけてもらいましょう。
「省エネ体質」は自分の気力、体力を自ら“省エネモード”にしていて、はなから期待を越えようと思うのではなく及第点の80点を取りにきます。この体質は近年急増しているように感じます。昔のように経済が上向きでやればやるほど出世や成功が期待できる社会ではないので頭打ち感が強いのでしょう。「頑張ったってどうせ…」、「平均点を上回っておけばいい」と冷めています。厳しいことを言えば及第点では現状維持でいることも難しいということがイメージできていないと言えます。
個人的にはホラーストーリーで相手を動かすのは気が進みませんが、現状維持でいることのキャリア上のデメリットを伝えるのも一つの方法でしょう。私がこのタイプの人に火をつける個人的なやり方としては、一緒に「修羅場、土壇場、火事場」の擬似体験をもつ機会を作ってエネルギーを出し切ってもらいます。省エネ体質の人は斜めに構えてはいますが、やってみると意外と清々しいということに気がつき、体質転換する人も結構な確率でいました。
ギバーでいることを阻む壁を乗り越え、テイカーの動かし方を学べば、もう単なるお人好しではありません。他者に与えることを通じて心の満足や成長を実感し、幸せなキャリアを築いていただきたいと思います。そういったビジネスパーソンが増えていくことで現在の職場で起きている様々な問題が解決され、たくさんの価値が生み出されていくと信じています。
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