かくいう私も、交渉をするのは気が進まない方ですが、ある時、かなり交渉に対して前向きにのぞむことができ、成功するようになりました。それは、自部門の予算を獲得するための交渉の時でした。
私は人材開発部門のリーダーでしたので、予算獲得はすなわち社員の育成機会に直結します。社員のためと思うと、交渉のテクニックやアプローチの仕方のアイデアが次々と湧いてきたのです。給与交渉の席で自分のためだと「こんなに高く提示するなんて強欲かな」などとためらいますが、家族のためだと思えばできるのと同じです。
「自分のため」ではなく、「他者のため」。他者のためだと思えば、恐れの壁も乗り越えられます。他者のために動くという元々のギバー志向を交渉や主張を通す時にも発揮しましょう。
人の役には立ちたいけど、自分ばかりが動いているように感じる不公平感。いつも動く人が同じ人ばかりでは、確かに嫌になってしまうのも分かりますし、組織内の雰囲気もいつしか悪くなってしまうことも。組織内がギバーとテイカーの攻防戦のように見えたら、ギバー的な行動をとるのをためらいたくなりますね。
ギバーの人は、黙々と人のためになることをする縁の下の力持ち的な存在の人が多いでしょう。私のオススメとしては、タイミングを見計らって自分が何をしているのかを見せる、つまり「縁の下を見せる」ことです。殊更に「私頑張ってます!」的なアピールをするのではなく、「今、自分はこういう行動をしています。これは役に立っているでしょうか?」と貢献できているかを確認するのです。
本当にそれが組織として必要だとみんなが認めるような行動であれば、他の人も同様の行動がとれるように、持ち回りにしたり、プロセスとして正式なものにして、組織メンバー全員にその行動を広げていくのです。
「ギバーとテイカーの攻防」ではなく、「チーム全員をギバーにする」。マネージャーがギバー的行動を見つけ、貢献を見える化して評価することで、組織全体のギバー化を加速できるとよいですね。組織全体がギバー化した組織は最強チームになるでしょう。
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