まず、用紙の左上側にあまり端にならないように、一辺が3センチ大の正三角形を描いてもらう。次に、その図形から同じ高さで右に数センチ離れた所に、やはり一辺が3センチ大の正方形を描いてもらう。最後に、上に描かれた2つの図形から等距離になるよう、紙の中心のやや下側に10円玉よりいくらか大きい円を描いてもらう。そしてその円の内部の右下側に線のない鋭角部分が5箇所ある星印を描いてもらう。
言うは易し、行うは難し。これを1分間で処理するのは相当に難しい。私もギブアップだ。
Bさんの指示プロセスについてもコメントしておこう。これは単純だ。Bさんは、まず形状として簡単な正三角形と正方形を描かせ、上半分を完成させてから、最後に円を描かせ、その中に星印を描いてもらうべきであったと、私は思う。複雑な図形を描くのは誰でも手間取るはずで、制限時間内に選択する行動の優先順位としては不適切である。
未来の医師が向き合う患者は、その多くが高齢者
ところで最近、私が医学概論の講義で話すテーマに「高齢者医療と総合診療の必要性」という内容がある。高齢者の数はいずれ4000万人に達する勢いで増えており、今の受験生が医師として1人立ちする頃には、いわゆる「団塊の世代」が後期高齢者の年齢に差し掛かり、大変な時期を迎えているはずである。彼らが向き合う患者も、その多くが高齢者であるはずだ。
そういう社会状況も加味すると、この2次試験には2つの「問いかけ」を読み取ることができる。1つは、複雑な事柄を整理し分かりやすくまとめる、医師に必要な能力・資質がありますか、という点。そしてもう1つは、理解力が鈍る高齢者に粘り強く向き合い、自身の考えていることを伝達することができますか、という点だ。
さらに付け加えるならば、あなたはそもそもお年寄りが好きですか、高齢者と向き合えますか、ということも問われているのかもしれない。
昨年の12月に文部科学省から公表された、高大接続システム改革会議(第9回)の資料によれば、国語において重視すべき項目が挙げられている。以下に一部を抜粋したい。
この内容、なんだか今回の2次試験と符合していまいか。
こういった問題は、まず作問が大変だろうし、採点にも時間がかかる。だが、本問のような方向に試験が向かえば、子どもたちの真の能力が見えてきそうだ。これからの子どもたちには、柔軟な思考力とそれをアウトプッとする力が、従来にも増して求められることになるのかもしれない。
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