最近、教育の2020年問題という言葉をよく耳にする。4年後に実施される大学入試センター試験の内容が大きく変わるというこの問題は、いまだ議論が進行中で方針も検討の段階である。だから課される試験が今後どう変貌するか、詳細は何とも言えない。
方向性を握るひとつのカギは、すでに打ち出されている「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の概要だ。そこには「思考力・判断力・表現力の判断機能を強化」「理数は主体的な探究活動を行う科目へ」といった指針が並んでいる。
現時点で発表されているサンプル問題に目を通すと、自分の頭でよく考え、的確に解答する能力が問われるという大筋の方向性も読みとれる。
東邦大医学部で実施された「不思議な面接」
いずれにせよ、4年後に大きなうねりが予想される状況なのは間違いなさそうで、それ相応の準備が必要だ。さて、どのような準備をすればよいのか。現在行われている入試にも、それに呼応する動きや兆候が少しずつ現れてきているので、今回は今年の入試で実際に出題された、ある問題に切り込んでみたい。
医学部入試で関連しそうな試験をいくつか検証したところ、参考となる選考形態が見つかった。先日、東邦大学医学部で実施された2次試験がそれである。まさに思考力、判断力、表現力が問われる内容である。
この大学の2次試験は、連載の第11回でも紹介したとおり、以前からよく練られ、受験生の思考力を測る良問が多い。だが、今年の2次試験は、その傾向に拍車がかかり、受験生の素の力や、その場での瞬時の対応力を測る内容だった。以下、2次試験に進んだ私の教え子2人からの聞き取り情報を総合して、その現場をここに再現してみよう。
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