ただし、その努力の形、具体的には努力の継続期間を見誤らない事と、努力の方向性を正しく見出すべきです。結果を出すために努力が必要なのですが、こと仕事における結果は努力をしてすぐに跳ね返ってくるわけではありません。そのことを正しく認識したうえで、現在の自分にとってやるべき優先順位の高い事に注力するべきです。
ちなみに中村さんのご自身の立ち位置に対する認識は正しいと思います。大学入学時に、自分が取り柄の無い人間だと認識できる、そのあたりのセンスは非常に期待が持てます。そして現在もご自身の立ち位置で、まさに取り柄の無い、特徴の無いご自身に悩んでいると、そういう事なのでしょう。
私自身も全く同じような問題意識を抱えていたため、その後の努力への糧になりました。したがって、その基本認識は、それが正しい努力につながる限りは間違っていません。人間謙虚であることによって、はじめて上に上がれるのです。
そのあたりの経緯の詳細は拙著『非学歴エリート』をご参照いただくとして、やはり特に仕事を始めたばかりの社会人たるもの、自分自身の「至らなさ」を常に強く認識をし、その上で自分はどう生きるべきか、どう努力をするべきかを考えるべきです。
周りの意見を気にするな
さて正しい努力とは何ぞやの前に、中村さんの文章を拝見しているとご自身の立ち位置を「周りや相手との関係において」探そうとしすぎている、という事が若干気にかかります。つまり外野の意見をベースにご自身というものを構築しようとしている感があるのです。
就職先に対する家族の意見、最初の会社の上司の軽口に対する反応にせよ、周囲の意見を気にしすぎのようです。しかし、周囲の期待に合わせようとしても限界が来ます。常に周りの皆の期待に応えよう、周りの皆に嫌われまいとすると、最終的には自分が見えなくなるのです。今の中村さんの状況は、まさにそれでしょう。
「あれ、これって本当に自分がやりたい事だったんだっけ?」とふと思うのだと思います。高学歴の方には自分の周りが作り上げた前提が崩れた際に、そういった方向になることが多いようです。しかし、「周り」なんてものはそもそも毎回メンバーが変わるわけですし、同じだとしても毎回同じことを言うとは限りません。
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