ダークナイト ライジング(The Dark Knight Rises) --ユーロ危機にも表れてきた、何が良いのか、悪いのか《宿輪純一のシネマ経済学》

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前2作も140分、152分と長めであったが、今回はさらに長く164分と3時間に近い。しかし、迫力のある戦闘シーンがかなりの部分を占める。さらにゲイリー・オールドマン、モーガン・フリーマンやマイケル・ケインなど超名優をそろえている。

昔のバットマンはアメリカンコミックスがベースであったこともあり、最初はシンプルな勧善懲悪であった。しかし、今回の3部作ではなかなかに考えさせられるところも多かった。バットモービルなどのメカも気に入っており、戦闘シーンも迫力はあるのだが、ストーリーのベースにある考え方が気になるのである。

 

 

©2012 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND LEGENDARY PICTURES FUNDING, LLC  Photo: Ron Phillips

 

特に気になっているのは「格差問題」がベースの1つにあることである。悪役ベインは核のボタンで街を支配し、低下層の人たちに、「持つ者は持たざるものを救え。それをしないものこそ悪だ。持たざるものよ、持つものから奪え。それは悪ではない」と叫ぶ。

格差問題こそ経済の重要な問題の1つで、先進国でも解決できないどころか、問題が拡大している。日本もそうであるし、混乱が収まらない欧州などはまさにこのとおりである。

現在の経済学や経営学や基本的な考え方として、競争の中で、頑張って収益を出すことが大事と考えられてきた。その努力こそがさまざまな意味での成長であると一般的に考えられてきたはずである。その競争の結果として「格差」が生まれている。

 

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