欧州では、ギリシャ・スペイン等の南欧と、ドイツなどの北欧との競争力の差を埋めることが大事であるとされている。日本でも格差の拡大につながることを懸念して、規制緩和が遅れているのかもしれない。
その「競争の結果としての格差」の取り扱いは、非常に難しく、白黒はつけられない。あまりにも援助しすぎると働く気がなくなり、努力しなくなるだろう。日本でも、先日、ニートの方がテレビで「働いたら負け」とコメントしていたのが印象的であった。
複雑化した現在の経済では、初期のバットマンのようにスパッと白黒のついた勧善懲悪ということが難しくなってきている。原子力の問題もそうであるが“最適値”を探すことが経済政策として必要な考えではないか。
映画の最後で、原作ではバットマンの助手のような位置づけのロビンが登場する気配があり、後を継ぐような感じもある。今後この問題をどう取り扱っていくのか、大変に気になる。
また、本作品では、セクシーなキャットウーマン(アン・ハサウエイ)も登場する。アン・ハサウエイも息の長い名女優になった。彼女の本作出演のインタビューを読んでいたら、本当に出たかったとのことである。それは単に大作だからということだけでない意味合いを感じた。やはり最近の「バットマン」には“魅力”があるのである。
しゅくわ・じゅんいち
博士(経済学)・映画評論家・慶應義塾大学経済学部非常勤講師・ボランティア公開講義「宿輪ゼミ」代表。1987年慶應義塾大学経済学部卒、富士銀行入行。シカゴなど海外勤務などを経て、98年UFJ(三和)銀行に移籍。企画部、UFJホールディングス他に勤務。非常勤講師として、東京大学大学院(3年)、(中国)清華大大学院、上智大学、早稲田大学(5年)等で教鞭。財務省・経産省・外務省等研究会委員を歴任。著書は、『ローマの休日とユーロの謎』(東洋経済新報社)、『通貨経済学入門』・『アジア金融システムの経済学』(以上、日本経済新聞出版社)他多数。公式サイト:http://www.shukuwa.jp/、Twitter:JUNICHISHUKUWA、facebook:junichishukuwa ※本稿の内容はすべて筆者個人の見解に基づくもので、所属する組織のものではありません。
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