デンマークでは家庭医や公共の病院での診察を待てない場合は、私立の病院で治療を受けることになります。しかし、その場合の費用は自己負担になります。
ここに民間の医療保険の存在意義があります。また病院の統廃合が進められた結果、公共の病院が遠くになってしまい、近くの私立の病院へ行きたいと思う人たちも増えています。その他にも国の制度ではカバーされない医薬品、歯科治療、メガネやコンタクトなどの費用を保険で担保したいというニーズもあります。
このように少しずつですが、国の医療サービスへの不安の高まりを背景に民間保険の役割が高まってきています。そしてデンマーク人も徐々に保険に入り始めているのです。
民間保険会社の出番がやってくる!
理想的な社会福祉のあり方は、その国のおかれた歴史的、文化的、社会的な状況によって異なります。だから日本にとり、デンマークの福祉モデルは参考にすることはできても、簡単に取り入れることはできません。
日本は、自分たちに相応しい社会福祉のかたちを、自ら模索してつくり上げていく以外に方法がありません。ただ、デンマークの最近の実態からはっきり見えてくることもあります。
ひとつはデンマークのような国民の高負担を前提にしても、パーフェクトな医療サービスはつくり上げられない、という事実です。つまり、今後、日本でいくら消費税率や社会保険料を引き上げたところで、現在の健康保険制度のサービス水準を維持することは困難だ、という厳しい現実です。
ふたつ目は、予想される医療サービスの後退により生じる空白部分を補完していくことが、これからの民間保険の重要な役割となっていく、ということです。日本でも、今後後退していく社会福祉サービスを補完しながら、きめ細かく国民のニーズを吸い上げ、それに応える民間保険会社の役割がクローズアップされてくることでしょう。
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