デンマークにも民間の医療保険は存在します。日本と同じように損害保険や生命保険が売られています。
ただ、医療費が無料のデンマークでは、これまで医療保険に入る人は限られていました。ところが最近は医療保険に入る人が増加傾向にあるようです。いったいデンマークに何が起こっているのでしょう。
好きな医療サービスを選択できない
世界経済が減速するなかでデンマークの国家財政も厳しさを増しています。そのような状況のなかで医療サービスも随所で切り詰められています。問題点として以前から挙げられていたのが診察までの「待ち時間」でした。家庭医に病院を紹介されてから実際に診察を受けるまで、かなり待たなければならないのです。命にかかわる緊急事態でない限り、数カ月は待つのが当たり前のようです(最近はやや改善されたようです)。
家庭医制度は国民の誰にでも専属のホームドクターが付いているわけですから安心できる素晴らしい仕組みです。しかしその反面、いつでも最初は家庭医に診てもらわなければならない、という不自由さが伴います。どのような医療処置が必要なのか、家庭医が判断し、家庭医の指示通りの治療を受けなければなりません。
家庭医が治療の優先順位を付けることで無駄な医療サービスが減り、医療費の膨張が食い止められるわけです。それがこの制度のもうひとつの大きな狙いなのです。
しかし、みながみな、自分の順番が来るまでおとなしく待っていられるわけではありません。
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