共通テストに「ベルばら」登場。ムーミン、シャニマス、バンプ…出題者が"漫画や歌詞"を出す本当の狙い

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さらに同じ問題文には、人気ゲーム「アイドルマスター シャイニーカラーズ」(通称:シャニマス)の登場キャラクターである樋口円香についての記述もありました。「常に幼馴染である浅倉透との関係性を通じて自分を位置づけるという宿命を背負ったキャラクター」という分析を通じて、人間のアイデンティティ形成や他者との関係性について哲学的に問いかける内容となっていました。

ゲームキャラクターやロックバンドの歌詞が、東北大学という旧帝国大学の入試問題に堂々と登場したわけです。

出題者が込めたメッセージとは

さて、ではどうしてこうした問題が毎年のように出題されているのか? これには、入試問題制作社の明確な意図があると考えられます。

それは、「ゲームや漫画であっても、学問や教養と深くつながっている」というメッセージです。多くの場合、ゲームや漫画と勉強は別世界のもの、交わることのない異なる領域として扱われがちです。「勉強しなさい」と言われるとき、それは暗黙のうちに「ゲームや漫画をやめて」という意味を含んでいることが少なくありません。

しかし、それに対してのアンチテーゼが今回のような問題だと言えるかもしれません。「ベルサイユのばら」を例に取れば、フランス革命や啓蒙思想、身分制社会について学ぶことで、この作品の歴史的背景や人物造形の深みがより理解できるようになります。

逆に、この作品を読むことで、教科書の無機質な歴史記述が生き生きとした人間ドラマとして立ち上がってくるでしょう。

ムーミンの物語を通じて北欧の自然や文化に興味を持つ。妖怪ウォッチを入り口に日本の民俗学や伝統文化を探求する。BUMP OF CHICKENの歌詞から哲学的思索を深める。こうした学びの道筋は、決して邪道ではなく、むしろ豊かで自然な知的探求だと言えます。

入試にこうしたコンテンツを取り入れることは、受験生たちに「勉強と日常生活は地続きである」というメッセージを送っていると言えるでしょう。学問は象牙の塔に閉じこもった特別なものではなく、私たちが日々楽しんでいるエンターテインメントとも深くつながっている。そして勉強とは、テストでいい点を取るためだけのものではなく、人生をより豊かに、より深く楽しむための営みでもある……。

出題者たちは、そんなメッセージを、オスカルやムーミン、リカちゃんや樋口円香といった愛されるキャラクターたちを通じて、未来を担う若者たちに伝えようとしているのかもしれません。

西岡 壱誠 ドラゴン桜2編集担当

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にしおか いっせい / Issei Nishioka

1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、現役・一浪と、2年連続で不合格。崖っぷちの状況で開発した「独学術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。

そのノウハウを全国の学生や学校の教師たちに伝えるため、2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国の高校で高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師には指導法のコンサルティングを行っている。また、YouTubeチャンネル「スマホ学園」を運営、約1万人の登録者に勉強の楽しさを伝えている。

著書『東大読書』『東大作文』『東大思考』『東大独学』(いずれも東洋経済新報社)はシリーズ累計40万部のベストセラーになった。

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