「オツ〜」「それな」「www」…。子どもたちをむしばむ3パターンの「SNSいじめ」、その正体。親世代にはなかった"巧妙な心理的暴力"の真相

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また、B君とC君までもが「それな」という言葉でA君に同意している。少なくともA君、B君、C君からの悪意を感じるのは仕方のないことです。しかし、3人の悪意をはっきりと立証して批判する術がないのです。先生も同じです。

ところで、この「オツ」という言葉は、ネットスラングの「乙」から来た言葉です。ネットの中で、一部の人たちが人を小馬鹿にする際に使用することがあるのです。

子どもはそうしたことを知っていますが、大人はあまり把握していません。そこで子どもたちはいじめをする際に、ネットスラングを隠語として使うことがあります。たとえば次のような言葉を相手に投げかけるのです。

「うわー、香ばしいなー」
「マジ、厨房?」
「メシウマ!」

親世代の人たちであれば、何を言っているかわからないでしょう。これを正しい言葉に直すと次のようになります。

「うわっ、おまえ痛々しいな」
「てめえは、中学生程度の脳みそしかねえのかよ」
「おまえの不幸をおかずに何杯だって飯が食えるよ」

ネット上には、人を誹謗中傷するためのスラングがあふれています。他には下図のようなものがあります。子どもたちは大人にバレないように、こうした言葉を駆使して遠回しに特定の子を傷つけているのです。

ネットスラング一覧
ネットスラング一覧(画像:『傷つけ合う子どもたち』)

少しずつ傷つけられ心が折られてしまう

現在の学校の教室やLINEの中でくり広げられているのは、昔のようなあからさまな暴力やシカトではなく、このような微妙に悪意を含んだ表現によって、相手にストレスを感じさせたり、少しずつ傷つけたりする行為なのです。

被害児もこれが1回だけなら我慢できるかもしれません。しかし、日常会話やSNSの中で日に何回、何十回とくり広げられれば、ボディーブローのように効いてきて、ついには心を折られてしまいます。

傷つけ合う子どもたち 大人の知らない、加害と被害
『傷つけ合う子どもたち 大人の知らない、加害と被害』(CEメディアハウス)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

スマホを所有している今の子どもたちは、放課後もずっとSNSでつながっているので、朝も夜も際限なくこうしたことが行われ、傷つけられます。

直接何かをされているわけではなくても、「どこかのグループLINEで自分の悪口が書かれているかもしれない」という不安によってつぶされてしまうこともあります。まさに24時間にわたるいじめにさらされるのです。

このようにして、子どもたちは保護者の知らない間に立ち上がることができなくなるのです。

石井 光太 作家

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いしい こうた / Kouta Ishii

1977年、東京都生まれ。海外の最深部に分け入り、その体験を元に『物乞う仏陀』を上梓。斬新な視点と精密な取材、そして読み応えのある筆致でたちまち人気ノンフィクション作家に。近年はノンフィクションだけでなく、小説、児童書、写真集、漫画原作、シナリオなども発表している。主な作品に『絶対貧困』『遺体』『43回の殺意』『「鬼畜」の家』『近親殺人』『こどもホスピスの奇跡』(いずれも新潮社)『本当の貧困の話をしよう』『ルポ 誰が国語力を殺すのか』『教育虐待: 子供を壊す「教育熱心」な親たち』など。

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