前に登場した篠原さんが話す通り、十条の街は物価が安い。十条銀座商店街の中ほどにある「鳥とたまご専門店 鳥大(北区十条仲原1-4-11)」は、名物のチキンボールがいまだに1コ15円だ。
地元住民からはこんな声が聞かれた。
「日本じゃないみたい」
「物価が安くて住みやすいから、外国人もたくさん移ってきている。商売を始める人も多いよね。十条は特にバングラデシュやネパールからの人が目立つ。最初に若い者がやってきて、住み慣れたころに家族を呼び寄せるんだ。よっぽど居心地がいいんだろうね。民族衣装みたいな服を着たおばあちゃんが店先に座ってくつろいだりしてる。そこだけ見ると日本じゃないみたいだよ(笑)」
街の変化は外国人が増えたことだけではない。JR十条駅の目の前には、2024年9月に竣工した地上39階の「THE TOWER JUJO(北区上十条2-27-1)」が街を見下ろしている。東急不動産のリリースによると、2022年9月第1期における1、2次販売の平均販売額は1億1987万円(最高額3億円)だったそうだ。
十条中央商店街(演芸場通り)で金物屋の「リビングショップ カネスズ(北区上十条1-13-5)」を営む足立健次さんは、こんなふうに話す。
「確かに外国人は増えましたね。この通りを東にずっと行くと、JR東十条駅(北区東十条3)に着くんだけど、その近くにモスクがあるから、このあたりも日曜日にもなると外国人がひっきりなしに通りますね」(足立さん)
足立さんも、外国人が増えたのは街の住みやすさのひとつの表れだと感じているそうだ。
「みんな言うだろうけど、物価は安いし交通の便は最高でしょ。十条駅と東十条駅は直線距離で550メートルほどですよ。別路線のJRの駅がこんな近距離にあるのは全国でも珍しいんじゃないかな」(足立さん)



















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