「都内絶滅寸前の大衆演劇」「15円のチキンボール」「億ション」がある23区の"カオスな街"の知られざる実態

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それでも現在の大衆演劇は力を盛り返している。十条を歩いたのは、平日の昼間だったが、この日の「劇団美松」の公演は全ての席が埋まる大入りだった。大衆演劇の人気は今も健在だ。

出待ち
劇団美松の講演後、出待ちをするファンと交流する団員たち(筆者撮影)
篠原演芸場
篠原演芸場の外観(筆者撮影)
有限会社篠原演劇企画
演芸場の隣にある有限会社篠原演劇企画。芝居の大道具小道具はここでつくる(筆者撮影)

通りの名前を変えた「篠原演芸場」

「昭和52年(1977年)には、木馬館での梅沢富美男さんの公演が大ヒットしたのを覚えている方も多いでしょう。平成に入ってからは現在俳優として活躍する若葉竜也さんなどが”ちび玉3兄弟”として注目され、大衆演劇の子役ブームがありました。弊社もずっとファンの方々に支えられています。平成10年(1998年)に篠原演芸場のリニューアル工事を行ったのを機に、十条中央商店街を”演芸場通り”に正式に改名しました」(篠原さん)

演芸場通り
「演芸場通り」(筆者撮影)

途方に暮れた初代を受け入れ、大衆演劇の文化をしっかりと根付かせた十条について、篠原さんはこう語る。

「コロナ禍のために、苦労もしましたが、今年に入ったあたりから客足も戻ってきています。ここは、いろんな意味で懐の深い街ですよね。外から来てもすぐに受け入れてくれる。本当に住みやすい街ですよ。物価も安いしね。演芸場のすぐ近くにある洋食屋の”じゅん(北区中十条2-18-2)”なんか、定食が600円台で食べられますよ」(篠原さん)

そんな街に恩返しをしたいと、去年から地元の社会福祉協議会などと連携し、地域の人たちを無料で招く試みも始めているという(年間500〜600人)。十条の魅力は大衆演劇とともに、まだまだ成長していきそうだ。

和洋食 とんかつの店じゅん
「和洋食 とんかつの店じゅん」(筆者撮影)
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