「手柄なんてくれてやれ」。執着しない人ほど「ビジネスで成功」するワケとは――大愚和尚が説く人生を好転させる"離れる力"の磨き方

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私自身も起業家ですから、日ごろから「経験がすべて」だと考えています。「ほかの人の実績にうまくのっかって、その上にあぐらをかいた」ところで、なんの意味もありません。

名にこだわるのは、実力がないからです。本当に実力があれば、「名前なんかくれてやる」という感覚になります。

勝負に負けて、実力で勝った達人たち

「暴れん坊将軍」こと徳川8代将軍吉宗にこんなエピソードがあります。

吉宗は剣術・武術に長けた将軍でしたが、江戸時代は戦がなく、力を実戦で発揮する機会はありませんでした。

それで自分の実力をたしかめたくなったのでしょう。あるとき、「弓の名手」と評判の達人を呼んで、自分と勝負をする場を設けました。

その結果は……吉宗の勝ち。3本すべてを的に命中させました。一方、達人は全部的から外してしまったのです。

『仕事も人間関係もうまくいく離れる力: いったん「距離を置く」、しっかり「一線を引く」』
『仕事も人間関係もうまくいく離れる力: いったん「距離を置く」しっかり「一線を引く」』(三笠書房)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

さて、その結果だけ見れば「達人の負け」ですが、なんと達人の外れた矢は、3本ともまったくの狂いもなく同じ位置に穿たれていたのです。

「自分が勝って、将軍に恥をかかせるわけにはいかぬ。しかし自分には、名手としての矜持がある。相手が将軍とはいえ、実力で負けたのでは名手の名折れだ」という思いで、「勝負に負けて、実力で勝つ」ことをやってのけたのでしょう。

吉宗もさすがというべきか、達人のこの気持ちはお見通しだったようです。

これは、武道家の間では有名な話で、実力者とはこうあるべきと、うならされます。

こういう話を聞くと、誰かに手柄を持っていかれても、どうということはないと思えませんか? 怒りから離れて「本当の実力を養うことが何より大切だ。小さな手柄なんて人にくれてやろう」と思えばいいのです。

大愚 元勝 佛心宗大叢山福厳寺住職、慈光グループ会長

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たいぐ げんしょう / Gensho Taigu

佛心宗大叢山福厳寺第31代住職(福厳寺は540年続く愛知県小牧市のお寺)。慈光グループ会長。佛心僧学院学長。

僧名「大愚」は、大バカ者=何にもとらわれない自由な境地に達した者の意。動画配信サービスYouTubeでのお悩み相談番組「大愚和尚の一問一答」の登録者数は74万人を超える(2025年9月現在)。3歳で経を習い5 歳で葬儀デビューし、10歳で僧籍を得る。駒澤大学、曹洞宗大本山總持寺を経て、愛知学院大学大学院にて文学修士を取得。僧侶、事業家、セラピスト、空手家と4つの顔をもち、「僧にあらず俗にあらず」を体現する異色の僧侶。主な著書に『苦しみの手放し方』『お金と宗教の歴史』。

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