「手柄なんてくれてやれ」。執着しない人ほど「ビジネスで成功」するワケとは――大愚和尚が説く人生を好転させる"離れる力"の磨き方
もちろん「使わずにためればお金は増える」のは事実ですが、倹約一辺倒ではそれこそ利幅が小さいし、お金以上にストレスがたまるだけなのです。
能力も同じです。常に全力を出し切って仕事に立ち向かわなければ、結果が出にくいうえに、成長スピードも遅く、いいことはありません。
ですから、ビジネスパーソンのみなさんは、「自分への投資にお金を惜しまない」ことと、「仕事をするときには全力投球」をモットーにすることをおすすめします。
手柄へのこだわりから離れる
■「手柄」なんて、人にくれてやろう
昔、駒澤大学の学生だったころ、学食でよくカツ丼をいただきました。
注文すると、おばさんが取っ手の付いたフライパンのような薄くて小さい専用の鍋にカツとタマネギを入れて、つゆをかけ、卵を加えてフタをして煮る。しばらくして具ができると、丼のご飯の上にのせる――。そんな、取っ手付きの専用鍋を上手に操る調理の様子を飽きずに眺めていたものです。そうして出来上がったカツ丼のおいしかったこと!
いうまでもなく、私の舌を喜ばせてくれたのは鍋の中身です。取っ手付きの鍋ではありません。その特徴的な取っ手は単に手をかけるための部品であって、料理そのものの価値とはなんの関係もないのです。
何をいいたいかというと、仕事でしばしば使われる「手柄」は鍋の取っ手のようなものだから、誰のものになろうと、気にしなくていい、ということです。
大事なのは鍋の中身です。
仕事でいうなら、実力、努力、創意工夫など、自分の持てるものをすべて投入して仕上げた成果のことです。手柄という名の取っ手など、同じ土俵で「争奪戦」を争うような相手ではないのです。手柄へのこだわりから離れて、中身の充実に力を尽くすのが本来でしょう。
■「名を棄てて実を取る」のが実力者
たしかに、何もしない上司がさも自分であげた成果のように、手柄を独り占めするのは、腹が立つことでしょう。けれども、しょせんは取っ手です。そこにあまりにこだわって、「本当は自分の手柄なのに」とイヤな思いを引きずるのは、時間のムダ、エネルギーのムダです。
仕事をしたことによって身についた実力や経験は、自分だけのもの。誰にも持っていかれることはありません。
ここは「名を棄てて実を取る」精神でいきましょう。
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