「飛行機でも、酸素マスクは親が先」"まずは親の充実"が子にもたらす三大効果とは?そもそも「親が充実する」ための実践的4ステップも紹介

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一見すると、この指示は親の本能に反するものに感じられるかもしれません。危険にさらされた子どもを最優先に助けたいと思うのは当然です。しかし、この指示には深い理由があります。

親が先に酸素不足で意識を失ってしまえば、結果として子どもを救うことができなくなるからです。自分の安全を確保してこそ、子どもを守ることができる――これは航空安全の鉄則です。

この「酸素マスクの法則」は、まさに子育ての縮図を表しています。親が心身ともに疲弊し、息切れしている状態では、継続的で質の高い子育てサポートを提供することは困難です。逆に、親が心身ともに充実し、エネルギーに満ちているときこそ、子どもは安心感を得て、本来の力を発揮できるのです。

親の充実が子どもに与える3つの大きな効果

では、具体的に親が充実していることが、子どもにどのような良い影響をもたらすのでしょうか。心理学や教育学の観点から、主に3つの重要な効果が確認されています。

1. 深い安心感と情緒の安定をもたらす

人間の感情は、想像以上に周囲に伝染します。これは心理学で「情動の伝染」と呼ばれる現象で、特に親子間では非常に強く作用します。

親が落ち着いて笑顔で日々過ごしていると、子どもは言葉で説明されなくても「この家は安全で、大人たちがしっかりと状況をコントロールしている」と感じ取ります。この無意識レベルでの安心感は、子どもの情緒安定の基盤となり、学習意欲や社会性の発達にも大きく影響します。いわゆる心理的安全性が確保できるようになります。

反対に、親が常にイライラしていたり、不安を抱えていたりすると、子どもも不安定になりやすく、本来持っている能力を十分に発揮できなくなってしまいます。

2. 人生のロールモデルとしての強力な影響

「背中を見て育つ」という言葉があるように、子どもは親の言葉よりも行動や生き様から多くのことを学びます。特に、親が何かに夢中になって取り組む姿、友人との豊かな交流、新しいことを学び続ける姿勢は、子どもに「人生は能動的に楽しむものだ」という強いメッセージを送ります。

親が自分の趣味や仕事に生き生きと取り組んでいる家庭の子どもは、将来に対しても前向きで、自分なりの目標を見つけやすい傾向があります。これは、親が「人生の楽しみ方」「努力の価値」「困難への向き合い方」を、身をもって示しているためです。

3. サポートの質的向上と持続性

心に余裕がある親は、子どもの話をじっくりと聞き、その子に本当に必要なサポートを冷静に判断できます。そして、余計な一言もありません。感情的になって叱りつけることも少なく、子どもの困りごとや悩みを受け止める心の容量も大きくなります。

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