末期の肺がん患う50代女性「頼れない夫」の代わりに利用した「オンライン診療」の中身――在宅ケアをサポートする"介護テクノロジー"の進歩

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例えば、冷蔵庫やエアコン、給湯器など、日常的に使用する家電にセンサーが搭載されており、長時間使われなかったときや異常な動きがあったときに、あらかじめ登録しておいた人に通知がいく“見守り家電”や、離れた場所に暮らす親が過ごすリビングや寝室などにカメラを設置し、映像を指定のデバイスに送信する介護用の見守りカメラなど、ここ数年でさまざまな商品やサービスが台頭しています。

筆者が見てきたなかでは、認知症の患者さんの家族にドアの開閉の際に専用アプリに通知がいくスマートセンサーを上手に使っている人がいました。深夜の徘徊対策に導入したものですが、何時に家を出たのかに加え、その時に着ていた服装もわかるため、探すときに役立つ場面も多かったようです。

もちろん、こうした見守り系のテクノロジーは、設定したからといって安心というわけではありません。遠方に住むなどいざというときに駆けつけられない状況なら、そのための対策が別途必要で、通知がきたときにどうするのかという行動までセットで考えるのが大事です。

見守りでいえば、それがプライバシー侵害にあたらないよう、“監視”にならないための配慮も必要です。

「難しいから」と敬遠しないで

約8割の人が病院で亡くなる時代ですが、「住み慣れた場所で最期を迎えたい、できるだけ最期まで過ごしたい」と願う人は少なくありません。

厚生労働省の調査(「令和4年度 人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査」)によれば、「治る見込みがない病気になった場合、どこで最期を迎えたいか」との問いに対して、「自宅」との回答が43.8%で最も多いという結果でした。

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本当は家で過ごしたいけれど、さまざまな事情からそれが難しい。そんなときに介護テクノロジーが解決の一助になる場合があります。

最新のテクノロジーは、機械音痴の人でも取り入れやすい、使い勝手がよいものがたくさんあります。「難しいから」と敬遠せず、まずはどんなものがあるか、いざというときに取り入れられそうなものはあるか、関心を持っておくことは大切です。

(構成:ライター・松岡かすみ)

中村 明澄 向日葵クリニック院長 在宅医療専門医 緩和医療専門医 家庭医療専門医

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なかむら あすみ / Asumi Nakamura

2000年、東京女子医科大学卒業。国立病院機構東京医療センター総合内科、筑波大学附属病院総合診療科を経て、2012年8月より千葉市の在宅医療を担う向日葵ホームクリニックを継承。2017年11月より千葉県八千代市に移転し「向日葵クリニック」として新規開業。訪問看護ステーション「向日葵ナースステーション」・緩和ケアの専門施設「メディカルホームKuKuRu」を併設。病院、特別支援学校、高齢者の福祉施設などで、ミュージカルの上演をしているNPO法人キャトル・リーフも理事長として運営。近著に『在宅医が伝えたい 「幸せな最期」を過ごすために大切な21のこと』(講談社+α新書)。

 

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