末期の肺がん患う50代女性「頼れない夫」の代わりに利用した「オンライン診療」の中身――在宅ケアをサポートする"介護テクノロジー"の進歩

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病気や障害などによって通院するのが難しい場合、訪問診療に切り替えられますが、Aさんは訪問診療でなければ対応できないほどの状態ではなく、本人も可能な限り通院したいという希望がありました。

とはいえ、通院をもう1日増やせば夫に負担がかかります。Aさんは月1回の通院で何とかすませようと、次の診察まで痛みを我慢することもあったようです。

筆者から見ても、痛み止めの調整が月1回では間に合わなくなってきているのは明白でした。そこで彼女に提案したのが、外来診察とオンライン診療とを組み合わせるという方法です。

コロナ禍を機に一気に普及

オンライン診療は、スマホやタブレット端末、パソコンなどの情報機器を使って、自宅にいながら医師の診察や薬の処方を受けられる診療手段。

以前から遠隔地に住む患者さんを対象とした遠隔診療など、一部では行われていましたが、新型コロナウイルス感染症の流行下であった2020年、コロナ禍に対応する措置として制度改革が行われ、オンライン診療が可能になりました。

場所を選ばず受診できるため、通院の負担が軽減されたり、感染リスクも防げるなど、オンライン診療ならではの利点も多く、新型コロナが5類感染症に移行したあとも続いています。

ただ、オンライン診療は対面で行う診療とは異なり、身体診察や検査ができません。そのため、どうしても医師が得られる情報が限られます。

そのため、対面診療と適切に組み合わせて実施すること、初診は原則かかりつけ医が実施すること、オンライン診療が適切でないと医師が判断した場合は利用できない、などというルールが厚生労働省によって設けられています。

Aさんの診察は問診がメインだったこともあり、月1回の通院と組み合わせれば、もう1回はオンライン診療で十分に対応できる状態でした。これなら移動しなくていいため、時間的にも労力的にも負担を大きく軽減させられます。

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