老けない人は「腸の若返り」ができている! 30代から進行する認知症はこう予防する

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しかし、腸は別名「第2の脳」と呼ばれており、小腸の一部の細胞や大腸の細胞は、神経を通じて脳と密に結びついています。ですから、腸が汚れていることから生じる生活習慣病や精神的な不調、免疫力や血流の低下といったことは、すべて認知症の発症リスクを高める要因となるのです。また、腸が不調だと細胞への栄養・水分の供給が滞りがちになり、ひいては脳細胞にも十分な栄養や水分が届かなくなります。こうなると脳へのダメージにつながるのはいうまでもありません。

このような腸の状態が長期間にわたって続けば、将来、認知症を発症するリスクが高まる一方といっても過言ではありません。まだ働き盛りの30代、40代だとしても、早いうちから腸の環境を整え、認知症への対策をしておいたほうがいいのは、このためなのです。

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拙著『認知症がイヤなら「腸」を鍛えなさい』(SB新書)でも触れていますが、腸の状態がよければ健康を維持することができ、老化を防ぐことにもつながります。腸が元気に機能することで、私たちの体を構成している60兆個の細胞が、いきいきと働けるシステムになっているからです。腸が元気なら脳を元気にすることにつながり、認知症予防にも有効なのです。

日本は世界でトップクラスの長寿国ですが、単に長生きすることが必ずしも幸せとはいえません。心の底から喜ぶべき長寿とは、健康であってこそではないでしょうか。このことは近年、「健康長寿」という言葉が注目されていることからもわかります。健康長寿とは、寝たきりや介護を必要としない、自立して生活ができる期間がどのくらいかを示した指標です。

健康長寿を左右するのは、何を食べ、どのような生活習慣を続けてきたのかにかかっているといっても過言ではありません。さらにいうなら、「腸」によいことをしてきたかどうかです。

私は胃腸内視鏡外科医として約40年間にわたり、米国と日本合わせて何十万例もの人たちの腸を診てきました。その経験から間違いなくいえることは、高齢であっても、「腸」がきれいな人は健康で、元気で若々しいということです。

健康長寿を左右する「腸内細菌」の働き

近年、腸が体の免疫力にも大いに関係していることが知られ、注目されています。この腸の役割を十分に機能させるカギを握っているのが「腸内細菌」です。腸がきれいで、腸内環境がよく保たれていれば腸内細菌の働きは活性化し、私たちの体を構成している60兆個の細胞を若返らせることにつながる体内酵素も活性化します。ひいては健康長寿を延ばすことができるのです。

腸内細菌のなかでも、特に重要なのが善玉菌です。この善玉菌が腸で十分に働くことによって健康の維持や改善につながるのはもちろん、脳の細胞も元気になり、認知症を予防することができるのです。これは、腸内で脳の健康に必要な栄養素や神経伝達物質の素がつくられるからです。

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