つい最近、私自身が嬉しくなるようなニュースがありました。スタンフォード大学院時代にお世話になった私の恩師の女性に、新しい恋人ができたんです。
彼女は長年連れ添ったご主人を数年前に亡くされて、しばらくは深い悲しみの中にありました。ちょうど70代後半だったと思います。ご主人のお墓が完成して、偲ぶ会が行われたのは去年のこと。私もその会に参加しましたが、彼女の沈んだ表情が忘れられませんでした。
人は何歳からでもときめきを持てる
その後、彼女はアメリカにあるシニア向けのコミュニティ施設に移り住みました。日本でいうと「サービス付き高齢者住宅」のような場所で、自立した暮らしを楽しみながら、必要なサポートも受けられる、自由度の高い住まいです。

食堂やラウンジも充実していて、外出や旅行も自由。そんな落ち着いた環境の中で彼女は少しずつ心を癒やしていたのでしょう。
そんなある日、彼女と親しい知人がこう声をかけてくれたそうです。
「今度、こちらに奥さまを亡くされた方が入居するの。あなたと気が合うかもしれないわよ」と。
その紹介をきっかけにふたりはごく自然に話すようになりました。初めは他愛もない世間話。そして、お互いのどこか似た境遇について。そんなきっかけもあり、ふたりはごく自然な形で「今度食事をご一緒しましょう」となり、ホームの外に食事に行くことになったそう。
そして2度目の食事のときには、もうお互いに惹かれ合っているのがはっきりとわかるような雰囲気で……気がつけば、自然と“カップル”になっていたというのです。
今、2人は同じ施設の別々の部屋で暮らしながら、毎日ともに過ごしています。
驚いたのは、ふたりで海外旅行まで楽しんでいること。行き先はなんと日本! 東京に来たときに3人で食事をしました。お2人とも本当に元気で、食欲も旺盛。見ていてこちらまで元気になるような、そんな素敵なカップルでした。
「もう80代でしょ?」と思う方もいるかもしれません。でも、そんな年齢の枠を2人は軽やかに飛び越えていました。
人生は、思っているよりもずっと長く、予想もしなかったタイミングで思いがけない出会いや変化が訪れるものなのかもしれません。
やはり人とのつながりは、年齢に関係なく、生きる力になってくれる。そんな当たり前で、とても大切なことを、私は恩師の姿から教えてもらいました。
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