「乳房」を手放した女性が直面、それぞれの事情 傷跡をカバーできる「ヨガウェア」を開発・販売

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日高利香子さんの後ろ姿
単身でバリに渡り、現地で乳がんに気づいた日高利香子さん(筆者撮影)
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「乳がんになっちゃってね。手術するの」

電話の向こうの友が、からっと打ち明けた。

「……全摘になるんだって。まぁいいのよ。子どもも大きいし、もう使い途ないんだから。“ぱぱっと取っちゃってください! ぱぱっとね!”って先生に言ったの」

よかった。思ったより元気で、さばさばと笑う声に私はほっとした。

――けれど次の瞬間、彼女は火がついたように泣き出した。

女性にとって特別の意味を持つ乳房

日本人女性の乳がん罹患率は2022年予測で9万4300人と、がんの中では最も多い。乳がんによる死亡者数は、2022年予測で1万5600人(国立研究開発法人国立がん研究センター「がんの統計2023」より)。

命を落とさずとも、なんらかのかたちで乳房を“うしなう”人は数多い。

乳房は、女性にとって身体のほかの部位とは異なる意味を持つ。大きさ、かたち、柔らかさ……この愛しくも悩ましいふくらみを手放すとき、女性たちの“胸”に降りるものは何か。乳がんを乗り越えた、ふたりの女性に問うてみた。

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