「乳房」を手放した女性が直面、それぞれの事情 傷跡をカバーできる「ヨガウェア」を開発・販売

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「私は最初ステージ3aと言われていたんですが、いざ手術してみたらがん細胞は脇のリンパ節を越えてリンパ腺まで広がっていて。それが一般的に言うステージ4なのか、ステージ3bなのか、はっきりとはお医者様に言われませんでした。

“ステージ”って人によって状況が違うので、同じ“4”でも大変な人もいれば、そうでもない人もいるんです。だから、ステージそのものはそんなに気にしなくていいんだと思いました」

淡々と語る利香子さんには、病への怯えが少しも垣間見られなかった。

見えたのは、どうにか脅かしてやろうと手ぐすねを引くがんを、真顔であしらってやった美しいふてぶてしさ。それには、バリで出会った友人の言葉が大きく影響しているという。

「ある人に、“目の前で起きてることって、自分が悩んでも悩まなくても状況が一緒だったら、悩んでいる意味ないじゃない?”って言われたんです。その言葉が、すごく腑に落ちて。だから、乳がんだとわかったときも、落ち込んでも意味がないから、できることをしようと気持ちを切り替えられたんです。なるべく体調が悪くならないように温熱療法を採り入れたり、バリの人に親しまれているサプリを飲んだり。私の場合は、それが全部よい方向に作用したみたいです。

抗がん剤もやりましたが、胸のがんなので、どんどん小さくなっていくのが手で触れてわかるんです。患部が内臓だとわからないじゃないですか。でも、自分で触れてがんが小さくなっているのがわかると、やけにポジティブになるんですよね」

しばらく乳房と別れることを決意

抗がん剤を投与した後、利香子さんはがんの摘出手術を受けた。

思ったより病状が進行していたため、主治医は「乳房の同時再建はしないほうがいい」という見解を示した。同時再建をすると万が一再発した際に再再建が難しくなり、また、シリコンなどを入れると温熱療法の効果が及びにくくなる。放射線治療もしていたためリンパを流すケアも欠かせず、これができないとリンパ浮腫を起こすおそれもあった。

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