切らずに"治癒"目指す直腸がん「TNT」治療の全貌 欧米ではすでにスタンダード、日本でも普及へ
がんは切って治すもの――。
そういうイメージがあるが、がんを手術で取ったとしても、そのあとに生じるさまざまな後遺症に悩む人は決して少なくない。昨今はこうした問題にも目を向けられ、患者によりやさしく、生活の質(QOL)を維持する治療が求められるようになった。
その1つが切らないで治す「TNT」と、その後の「Watch & Wait」だ。直腸がんで試みられている。
手術の難易度が高い直腸がん
肛門近くにできる直腸がんは大腸がんの1つで、毎年、新たに診断される患者数は約5万人。手術で切除しても再発したり、肺や肝臓に転移したりする割合が高く、大腸がんの中でも“やっかいながん”とされる。
また、一般的な大腸がん(結腸がん)に比べて手術の難易度が高く、手術に成功しても後遺症として尿もれや便もれ、勃起・射精障害などの性機能障害が起こることがあり、人工肛門(お腹に空けた排泄の出口)が必要となるケースも少なくない。
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