「今日からお前が母親だ」突然、親の介護・家事を背負った18歳。元日テレアナウンサー町亞聖さんが語るヤングケアラーの「問題」<前編>
「無口な弟は誰にも相談せず、自身の将来を決めてしまいました。彼にもなりたかった職業がきっとあったはず。でも、親を頼らずに生きていくためにはどうしたらいいかを考えて、限られたカードの中から公務員を選択してくれました」
町さんが学校に期待すること
ヤングケアラーの課題の1つに、子どもたちが自分の人生でやりたいことを我慢したり、未来に夢や希望を持てなくなったりしやすいことがある(*3)。弟の行動を振り返って、町さんは学校には子どものSOSに気付いて声を掛けてくれる「ゲートキーパー(命の門番)」の役割を期待する。
特に、ヤングケアラーは自分が介護や家事をする日常が当たり前になっているため、客観的にはそれが課題であることを自身では認識できない。
町さんは「学校で宿題や提出物が出ないことが続く場合は、なにか問題を抱えているかもしれない。家庭訪問をして、玄関の様子を見るだけでもわかることもあります。また、中学から高校へ、あるいは高校から次の進路へ踏み出すような重要な時期に、親以外の信頼できる大人に進路の悩みについて話せる環境があったほうがいい」と提案する。
子どもが子どもらしく生活できるためには、孤独な気持ちを吐き出せる場や、人とのつながりが必要になる。
困っている、助けてほしいと自分からは声を上げにくい。周囲の大人からの「がんばってるね」「夜は眠れているか」などの声がけを通じて話を聞き出せれば、SOSをキャッチしやすい。

*1 こども家庭庁特設ホームページ「ヤングケアラーのこと」
*2 内閣府『地域の受援力を高めるために』
*3 一般社団法人ヤングケアラー協会ホームページ
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