「今日からお前が母親だ」突然、親の介護・家事を背負った18歳。元日テレアナウンサー町亞聖さんが語るヤングケアラーの「問題」<前編>
さらに近年、こども家庭庁によって市区町村には「こども家庭センター」が設立されているところもあり、「ヤングケアラーコーディネーター」という専門職が相談にのってくれるようにもなった。町さんの時代には、介護保険制度も地域の取り組みもなかったが、自身の体験からこう強調する。
「自立とは、何でも1人で頑張ってやることではなく、必要な時に人に頼れること、頼る先をいくつも持ち上手に活用できるようになるのが本当の自立です。困ったときには『助けて』と言っていいんです」
家庭の変化に耐えるきょうだい
母親の突然の病気と介護の余波を受けたのは、町さんだけではない。妹や弟も家庭の変化に耐えていたという。
中学に入学したばかりの妹には友達と同じように勉強も部活も楽しんでもらいたいと、町さんは大学時代、介護や家事を全て自分1人でやると決めた。自分が大学を卒業し就職したら、妹には本格的に介護や家事をやってもらわなければならなくなるからだ。
妹に「介護のせいで」と思わせないための姉の決断だった。実際、妹はバスケットボール部に入り、部活を楽しむなど、子どもらしく過ごすことができた。
一方、弟は違った。
高校を卒業したら、奨学金で大学へ行くものと町さんは思っていた。だが、弟は高校3年生の冬、突然「大学には進学せず、消防士になる」と言い、すでに願書を出していた。

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