「女性管理職比率」「人的資本経営」…社会からの要請に企業はどう応えるか 《その数値は誰のため?》見失われる本質とその代償

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悩む会社員たち
「あれもやらなきゃ」「これもやらなきゃ」……。企業に向けられる目が厳しくなるにつれ、数値目標や社会的要請への対応に追われ、本質を見失っているケースはありませんか(写真:metamorworks / PIXTA)
「女性管理職比率を高めなくては……」「人的資本情報を開示しなければ……」。企業が迫られる数々の社会的要請。しかし一体、何のために対応しているのか。
リンクアンドモチベーション会長の小笹芳央氏は、「社会的な要請に対応しようとするが、いつの間にかその本質を見失い、手段が目的化してしまっている企業が少なくない」という。
小笹氏の著書『組織と働き方の本質 迫る社会的要請に振り回されない視座』を再編集し、経営やマネジメント、個人の働き方の本質にシリーズで迫っていく。第2回では、さまざまな社会的要請の中でも「女性管理職比率」と「人的資本経営」を取り上げて解説したい。
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「女性管理職比率」の罠

女性管理職比率30%というのは、国の男女共同参画基本計画で目標として設定されている数値である。

筆者は、女性が活躍することはもちろん実現すべきことだと思っているが、女性管理職比率の数値目標を決め、その実現を義務化(推奨)することが女性の活躍を推進することになる、という考えには疑問がある。

30%という基準は欧米諸国の実績や国際的な基準を参考にしつつ設定されたものであろう。この目標は「日本も、そこに至らないといけないのではないか」という考えにすぎず、30%という数値に明確な意味、論理的な根拠はないのではないか。

もちろん目標となる数値を設けることで、女性登用が進む側面はあるだろう。だが近年、個人の働き方も、働く意味も、働く目的も多様化している。これは、女性も男性も同じである。

であるならば、個人個人の希望や適性、個性などが活かせる社会になること、男女関係なく、社会全体で適材適所を実現できることが理想ではないだろうか。

そもそも現代は、「女性」でも「男性」でもなく「個性」を重んじる時代である。少し理屈っぽくなるが、3つのレイヤーで説明したい。

3つのレイヤーの解説
(画像:『組織と働き方の本質 迫る社会的要請に振り回されない視座』)
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