朝ドラ「あんぱん」やなせたかし、漫画がヒットせずによかったワケ 思いもよらぬ形で転がる人生にさした光

イメージ(写真:NYANKO / PIXTA)
NHKの連続テレビ小説「あんぱん」が、放送回を重ねるごとに注目を集めているようだ。漫画家のやなせたかしと妻の暢(のぶ)をモデルにした物語である。やなせたかしといえば、子どもたちに人気の「アンパンマン」の作者として知られているが、ブレイクしたのは69歳のとき。30代でマンガ家デビューを果たして以来、長く不遇の時代を経験している。遅咲きだったやなせたかしは、いかにして飛躍したのか。『大器晩成列伝 遅咲きの人生には共通点があった!』の著者で偉人研究家の真山知幸氏が解説する。
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ラジオドラマから生まれた「やさしいライオン」
手塚治虫からの依頼で、長篇アニメ「千夜一夜物語」のキャラクターデザインを手がけたやなせたかし。興行的に大ヒットとなり、手塚からはこんなことを言われた。
「ヒットのお礼に、何かアニメーションの短篇を自由につくってください」
制作費は手塚のポケットマネーから出すというから、太っ腹だ。やなせは初めてアニメーションを手がけることになった。
はたして、これまで創った作品のなかからどれをアニメ化するか。やなせが選んだのは「やさしいライオン」という作品だ。この作品が生まれたのは、こんな依頼を受けたことがきっかけだった。
「ホンがまにあわなくて穴があきそうなんですよ。何でもいいから大至急一本書いてください」
相手は文化放送のディレクターで、ラジオドラマの脚本が間に合わないのだという。そんなときこそ「困ったときのやなせさん」の出番だ。すぐに引き受けて、以前に書いた短いコントを30分のドラマに仕上げている。
これが「やさしいライオン」として、やなせの代表作の一つとなる。
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