「女性管理職比率」「人的資本経営」…社会からの要請に企業はどう応えるか 《その数値は誰のため?》見失われる本質とその代償
先に記しておくが、筆者は人を簡単に解雇できる世の中にしたいとは微塵も思っていない。日本の解雇規制が厳しすぎるがゆえに、屋上屋を架さなければならない実態に警鐘を鳴らしたいと考えているだけだ。
経済合理性を重んじる企業経営においては、「新たな価値を生み出す資本を磨き、価値を生まない資本は入れ替える」というのが基本姿勢となる。
だが日本の法律の下では、それを柔軟に行うことができない。結果として、成熟産業から成長産業への人の移動が起こらず、成熟産業に人材が滞留してしまっているのが現状である。
人的資本経営の目的は、人材の個性や能力の最大限の発揮によって企業価値を高めることにある。
それならば、自社では価値を生みにくい(他社に移れば個性や能力を発揮できる)人的資本を柔軟に(会社と個人がお互いに納得感を持って)入れ替えることができるよう、解雇法制をいまよりは緩和する議論が始まることを期待している。
おわりに
さまざまな社会的要請の中でも「女性管理職比率」「人的資本経営」という2つを取り上げて、その向き合い方を論じてきた。会社で働く人はみな、ルールに振り回されるのではなく、こうした社会的要請の本質を見抜いてうまく活用していく必要がある。
次回は、「ワークライフバランス」「副業・兼業」という個人の働き方に関するバズワードの本質を紐解いていく。
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