「一気に172店も閉店」「まさに閉店ドミノ」 ドミノ・ピザが国内の2割の店舗を閉店。”閉店ドミノ”は一体なぜ起きたのか?
数km先までの宅配もある地方都市での出店は、「2km圏を効率よく配達」が基本のドミノ・ピザには不向きなケースもあった。さらに日本向き・子供向きのメニューが他社より少ないなど、あまり迎合しないメニュー構成は、たとえ美味しくても地方向きとは言い難い。
かつ、進出した地域の多くは、3強の「ピザーラ」「ピザハット」や他チェーンが既に地盤を築いている。シェアを奪取するために打った頻繁なクーポン・割引戦略に現場がついていけず、「デリバリーでLサイズ購入→Mサイズ2枚無料」キャンペーンや、クリスマスの過剰な予約の獲得で「いつまでたっても、ピザが届かない!」とのクレームが全国的に多発、SNSでの炎上を招いてしまった。
DPE社としても、2020年には7400人を一挙に採用するなど、「本気モード」といえる拡大戦略はとっていた。しかし行き過ぎた販促によるオペレーション崩壊で労働者を心配する声も多く、経営側の視点で貫いた「攻めの姿勢」が現場とかみ合わず、出店のリターンが利益ではなく「信用低下」として返ってきてしまったのだ。
2025年2月の「172店閉店」前から閉店は続いており、北海道旭川市のようにフランチャイズ3店の運営元が破産・閉鎖、直営店も撤退で4店→ゼロ店となったケースも。中には、サービスを競う社内コンテストで全国1位に輝き、「ドミノ・ピザ ジャパンのマーティン・スティーンクスCEOや役員が1日店舗運営、店員は全員有給休暇・バーベキュー」という副賞を獲得した高知塩田町店のように、サービスレベルは非の打ち所がないのに、オープンからたった3年で閉店してしまう店舗もあった。
ドミノ・ピザの「172店閉店ドミノ」の根本的な原因は、「3年で400店・ほぼ店舗倍増」という出店戦略と、攻めすぎた姿勢そのものに無理があったようにも見える。
閉店ドミノの「その後」は?課題はデリバリー同士の競争
ただ、今回の「閉店ドミノ」を差し引いても、「出店ドミノ」が約400店舗だったことを考えると、増加分の半分程度が残る。このタイミングで採算がとれない店舗の整理は、経営判断としては賢明だろう。

また閉店はフランチャイズ店舗も多く(58店)、フランチャイジーは痛みを感じても、ドミノ・ピザ ジャパンやDPE社には、そこまでの影響を及ぼさないだろう。

ただ、今後のドミノ・ピザは「コロナ禍特需の終了」「他のデリバリーサービスとの競合」といった課題を抱える。
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