「ラーメンの神様」に弟子入り《東池袋大勝軒の味を守る男》の凄さ―“自己流”の限界を突破するのに有効な“弟子入り”という学び方

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<マスターの家でワンタンやタンメンの作り方を教えてもらっているうちに、自分がなろうとしているラーメン屋を、ただの金儲けの手段として考えちゃいけないと自然に思えるようになっていたんですね。(中略)

「おいしいものを腹いっぱい食べさせて、お客さんを満足させたい。そのために努力を惜しまないんだ」というマスターの一貫した姿勢に感動したんです。一所懸命に味の話をしてくれているマスターを見ていて、その考えを継ぎたいという気持ちが強く芽生えてきました。>

睡眠時間は長くて5時間

丸一日の肉体労働が終わってからも自主研修。しかも、「ラーメンの神様」とのマンツーマン。さぞ緊張感に満ちた苦しい日々だったと想像するが、田内川さん本人にぶつけたところ、半分は肯定して半分は否定した。

「長くて5時間睡眠の毎日でしたから、確かに体力的には大変でした。若いときだからやれたのかもしれません。でも、マスターは誰に対しても壁を作らず、明るく冗談を連発する人です。疲れていても前向きな気持ちにさせてくれます。そんなマスターに自分が知りたいことをじっくり教えてもらえた1年半は僕の人生で一番貴重な時間だったんじゃないかな」

幸せそうな表情をする田内川さん。迷ったときはいつでも心の中の山岸さんと対話しており、その味を守り復刻させることに集中している。

「車の運転と似ています。教習所で習った方法を無視して、自己流で無茶な運転をするのは事故のもとです。ラーメン屋も自我を出して失敗するケースが多い。少なくとも今は、昔のメニューを復刻するという宿題が残っているので、新作をやりたいとは思いません。

若い頃は濃厚つけ麺みたいな新作を提供したことはありましたよ。売れましたけれど、僕自身が美味しいとは思えなかった。自分が気にくわないものをお金に変えたくはないのでメニューから消しました」

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