「5月に早稲田に行けなくなって、その名古屋大学の不思議な寝技の柔道が思い浮かんだんです。自分は投技の柔道でトップクラスまで強くなれる才能はありませんでしたが、そんな自分でも努力すれば寝技なら強くなれるのではないか。実際に名大柔道部員たちは寝技が驚くほど強かった。努力が必ず実るというその寝技の柔道に惹かれて、旧帝大に入って七帝柔道をやろうと思ったんです」
どこかの旧帝大に入ろうと思っていた増田さんは、名大の部員たちに紹介された井上靖氏の『北の海』を読んだことと、どうせ行くならいちばん遠い大学を受けようと思ったことから、志望校を北海道大学に定めました。
数学を捨てる決意を固める
北大を志望するうえで、増田さんは、受験科目の一つである数学を捨てることを決めていました。
「当時の北海道大学は、現役時代が共通1次と2次試験が5対5、1浪・2浪時代が傾斜配点で共通1次が450点で2次試験が275点の合計725点満点でした。2次試験の合格ボーダーラインは55%程度を取ればいいと聞いていたので、ほかの得意科目で95%を取れば無理なく合格できるから、苦手な数学をわざわざ勉強する必要はないと考えたのです」
しかし、現役のときは、それまでスポーツ推薦で大学に行こうと思っていたこともあり、勉強なんてまったくやっていなかった増田さん。受験学力は中学3年生のときと同じレベルにとどまったままという状況に「ひどい状態ですよね」と当時を振り返ります。
結局、現役の共通1次試験の得点は1000点中622点と惨憺たるもの。「倍率3倍だし(もしかしたら)受かるかなぁ」と思って観光気分で札幌へと受験へ行きますが、もちろん落ちました。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら