こうして名門・旭丘高等学校に進んだ増田さんは、高校に入ると、またしても勉強はいっさいしなくなります。その様子は小学校や中学時代よりひどくなって、進級できる単位ギリギリの日数しか授業に出なくなりました。
旭丘高校は戦前の愛知一中時代から自由な校風で、ほかの生徒もあまり勉強せず、高校時代は好きなことをやって過ごす雰囲気がありました。
増田さんが勉強をせず、何をしていたかというと、昼前くらいに出校して高校の図書館や柔道部の部室で本を読んだり、あるいは外に出て喫茶店や映画館などで時間を潰していました。
旭丘の図書館は高校で全国有数の蔵書数を誇り、漫画も大量に置いてありました。
彼は単位数取得のためだけに授業に出席しているときも、授業中はずっと関係ない本を読んでいました。それは小説やノンフィクションだけではなく動物学から哲学書、美学や歴史書にいたるまで多岐にわたり、授業をサボっての外での遊びも含めて、教養の肺活量が増していく感覚があったようです。
一方で、午後3時からは柔道部の練習が始まりましたが、この競技は増田さんに合っていて、どんどん強くなっていったそうです。

それは単に運動能力や筋肉の質が合っていただけではありませんでした。
「中学までは野球をやっていたんですが、指導者にアピールしないとレギュラーになれなくて実力を証明する機会すらない。僕は人を押しのけられない性格なんです。だから練習で先輩を投げれば試合に出してもらえる柔道が性格的に合っていました」
最初はスポーツ推薦を考えた
定期テストの成績はよくありませんでしたが、当時から「計画して行動する」を徹底しており、追試を受けたことは1度もないといいます。そういった考えが大学入試でも「理学部数学科に進むわけではないから嫌いな数学はやらない」と決め、最後までいっさい勉強しないということにつながりました。
「旭丘高校は、文系の人間にも数3をやらせ、理系の人間にも日本史や世界史や地理をすべてやらせる学校でした。僕は理系だったのですが、共通1次試験で使わない日本史は3回の定期テストが3点、2点、1点でした(笑)。4回の定期テストで120点ないと追試なのですが、最後の4回目で100点を取って『仕方ないだろう』と先生がギリギリ免除してくれましたので、最後まで追試は受けずに済みました」
勉強をしなかった高校当時の増田さんの評定平均は2.9(5点評価)という低評価でしたが、2学年上の体操部の先輩が評定平均2.7で早稲田大学教育学部教育学科体育学専修にスポーツの推薦で進学したことを知り、早稲田にスポーツ推薦で行こうと考えました。
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